脂質の酸化:自動酸化の仕組みや予防法など

自動酸化反応は、金属イオンの存在により抑制される?

『油の熱酸化が進行すると、ヒドロペルオキシドが蓄積する?』の解答解説をご参考ください。

(解答) ✖ 促進
自動酸化反応は、金属イオンの存在により促進されます。

クエン酸は金属イオンをキレートすることにより、脂質酸化を抑制する?

脂質酸化において、物理的酸化防止および化学的酸化防止がおきます。化学的に酸化を抑えるものを抗酸化剤といいます。これらの抗酸化剤によって計五つの作用が進行します。ラジカルの捕捉作用¹O₂(一重項酸素≒活性酸素)のエネルギーの消光作用金属イオンの捕捉作用還元作用相乗効果があります。そのなかで今回の問題に対応しているのが金属イオンの捕捉作用です。クエン酸やシュウ酸および合成抗酸化剤であるEDTAなどがあります。これらは金属イオンを捕捉することで三価の促進因子を取り除きます。よって脂質酸化は抑制されます。

(解答) 〇

光増感酸化反応では、食品中の酵素が関与する?

天然色素として油脂に混在するクロロフィルや食品添加物色素などは、可視光を吸収して励起され、そのエネルギーを³O₂(三重項酸素≒普通の状態の酸素)にわたして¹O₂(一重項酸素≒活性酸素)に変化させます。変化後のほうが反応性が1000倍ほど強く、生じた¹O₂は直接不飽和脂肪酸の二重結合を攻撃し、非ラジカル的にヒドロペルオキシドを生成するといった反応を光増感酸化反応といいます。光増感酸化反応は二重結合さえあればその数に依存はなく二重結合数が二倍にもなるヒドロペルオキシド異性体が生成されるといった特徴もあります。

次にリポキシゲナーゼについて説明させていただきます。リポキシナーゼとは植物界に存在する酵素です。リノール酸やリノレン酸など、特定の構造を持つ脂肪酸に³O₂を添加することで、ヒドロペルオキシドを生成します。保存、加工、調理など細胞が傷んで接触すると反応が進行します。野菜や大豆の青草臭はリポキシゲナーゼ反応により生じるヒドロペルオキシドが分解してできたヘキサナールとヘキセナールなどといったアルコールやアルデヒドに起因があると言われます。防止策としては、酵素に変わりはない為、加熱による失活させることで、酸化を防止することができます。

(解答) ✖ 色素。リポキシゲナーゼの解説も。
光増感酸化反応では、食品中の色素が関与しています。

光増感酸化反応では、三重項酸素が直接反応する?

油脂の酸化には活性酵素が用いられています。不対電子をもつ原子あるいは原子団をラジカルといいます。これは、ラジカル反応とよばれる連鎖反応を起こす反応性の高いものでもあります。通常の酸素の形がこの形であり、基底状態の酸素、あるいは三重項酸素といわれています。酸素分子がほかの気体分子に比べて反応性が高いのは二個の不対電子をもつビラジカルであることが起因としています。さらに、³O₂が外からエネルギーを得て励起された状態のものを一重項酸素といいます。この他にも、³O₂がほかの化合物から電子を一つ引き込んだ分子種をスーパーオキシドまたはスーパーオキシトアニオンと呼ばれています。さらには、ヒドロキシラジカル過酸化水素なども活性酵素と呼ばれています。

『光増感酸化反応では、食品中の酵素が関与する?』の解答解説にも記載しています通り、光増感酸化反応では、可視光などを吸収し、そのエネルギーを³O₂にわたして¹O₂に変化させます。これはまさに、上の文章「³O₂が外からエネルギーを得て励起された状態のものを一重項酸素といいます」となるため、反応に使用されるものは一重項酸素であると言えます。

(解答) ✖ 一重
光増感酸化反応では、一重項酸素が直接反応します。