研究論文の意外な常識

 研究者の執筆する学術的な論文は、これまで関心を持たれるのは稀でした。そのため、費用をご負担頂くことは近年まであり得ないことでした。産学連携での研究であっても、2000年前に実施した研究を2010年頃にやっと論文化したということもあります。

 しかしながら、機能性表示食品の制度が始まって以来、研究論文執筆を業務として受託することが多くなりました。機能性表示食品でなくても、景品表示法の対策と広報も兼ねて論文執筆を依頼することも増えてきました。また、安全性試験を実施して、それを公表するために論文化を依頼される場合も何度かありました。

 多くの場合、論文の内容や進め方をお任せ頂くことが多いのですが、 概ね完成した後に内容などの要望がある場合は困ることがしばしばありました。研究論文をご依頼頂く際に、研究者には自明のことであっても、一般的には知られていないことをご紹介させて頂きたいと思います。

研究論文に関する常識

ご理解頂きたいとことを以下、列挙させて頂きました。

1.論文は受理されない場合がある
2.筆頭著者の倫理観や解釈が優先される
3.著者には関係した方々のみ
4.英語と日本語で同じ(似た)内容では出せない
5.一度受理されると修正が極めて困難

誤解として頻度の多いと思われる順番に記載しました。

研究論文は著者の創作品

 個別の説明は、今回は省略させて頂きたいと思いが、最も困るのは「2」についての誤解です。

 メーカーの方がなるべく良い表現を求める気持ちは分かりますが、サイエンスとして妥当な結論として難しいことがあります。基本的には、著者(研究者)の倫理観や解釈が優先となり、指導者でもその介入が難しいです。

 また、機能性表示を目指した論文の場合、あまりに規定やフォーマットに沿い過ぎると、事務的な文章のように格調のない論文になってしまいます。文学作品や文学賞のようにご理解頂けると分かりやすいかと思いました。

研究者だけ知っている(?)研究論文の常識

 一般の方々にはあまり知り得ない常識であると思いますが、研究者にとっては大問題であることが、著者の順番などです。また誤解の「3」に該当することでもありますが、実際に研究に関わった方々だけが著者になることができます。

 論文の著者に関することは明確な法律や規定がある訳ではなく「オーサーシップ」と呼ばれる倫理観や国際的なガイドラインがあるくらいです。つまり、基本的には、執筆している研究者の価値観や経験に委ねられます。

かなり重要な著者の順番

 これは、もしかしたら雰囲気でも分かるかもしれませんが、著者の最後に責任者(教授など)の名前があることが多いです。ラストオーサー(last author)と呼ばれています。

 そうなると、一番目の者が立場が低いかというと、逆に、論文に最も貢献した人が書かれる場合が多いです。筆頭著者、ファーストオーサー(first author)と呼ばれています。

 研究員や教員として採用される際に2番目、3番目くらいまで考慮してもらえることが多くこの順番に神経質である研究者も少なくありません。こういったことから、大学との共同研究で企業の方の名前が入る際、4番目以降になっていることが多いことと思います。

全責任を負う訳ではない責任著者

 コレスポンディングオーサー(corresponding author)、略して「コレスポ」と呼ばれることもあります。日本語論文の場合は、責任著者と書かれていますが、直訳すると『対応する連絡担当者』くらいになります。例えばノーベル賞を受賞したい場合はコレスポであることが一般的で日本語の責任著者という言葉も納得です。

 これは、前述の著者の順番とは関係なく、複数名が責任著者になることも可能です。一般的には、ファーストもしくはラストの方が責任著者になることが多いです。研究論文に関する責任は著者全員が負うものであり、一人に責任を負わせる、一人だけの手柄になるという訳ではありません。

論文執筆の受託

 論文を依頼される際には、 上記のような状況を踏まえ、 ご要望を事前にお伝え頂けると誤解のない意図される通りの論文に近付くのではと思いました。

 論文執筆の依頼が多くなることに対応できるよう、当研究チームでは、教員レベルの研究者を多く抱えております。自社試験、他社の試験についても論文化可能であり、そういったご相談も歓迎です。