機能性表示食品と食品の機能性

このページでは、機能性表示食品を中心として、食品の機能性と表示の制度について説明しています。

機能性表示食品の制度自体の概要は、消費者庁のホームページに詳細が書かれています。特に、PDFを参照すると、その概要が良く分かると思います。

機能性表示食品を詳しく解説する前に、食品の機能性と食品機能性を表示するための制度をご紹介させて頂きます。

食品の機能性とは?

例えば、携帯電話には、通話機能や通信機能、カメラ機能などを求めることと思います。しかしながら、食品には、あまり機能を意識することは稀であるかもしれません。

食品の一次機能、二次機能、三次機能

食品には以下のような機能があると言われています。

一次機能:栄養機能

二次機能:嗜好性

三次機能:生体調節機能

私たちは、生きるために、エネルギー源や必要な物質を欠乏しないように食物を摂取しています。栄養素を摂取するための機能を食品の一次機能と言います。また、美味しい、好きである食品を選ぶと思います。食品の嗜好性、美味しさは二次機能とされています。

機能性食品

食品の機能には、栄養機能や嗜好性もありますが、特に食品の三次機能を高めた食品を機能性食品と呼びます。例えば、メタボリックシンドロームを予防する、便通を促進する等、身体の様々な諸問題を解決するような食品です。以下のような食品がその一例です。

食物繊維・オリゴ糖:便通の促進など

アミノ酸:睡眠、疲労感、メンタルヘルスなど

ペプチド類:高血圧の予防など

脂肪酸:認知機能改善など

ポリフェノール類:メタボリックシンドロームの予防など

香辛料成分:代謝を高めるなど

このページで紹介している機能性表示食品や特定保健用食品は、この食品の三次機能を標榜した機能性食品に対して、その効果をパッケージに表示するための制度になります。また、機能性表示食品や特定保健用食品の申請をしていない食品であっても、様々な効果を有している機能性食品も多くあります。

食品の機能性を表示する諸制度

 現在は、最も活発に開発されている機能性表示食品ですが、特定保健用食品や栄養機能食品などをご存知の方も多いかと思います。

現在、健康への働きを表示することのできる保健機能食品には、特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品の3種類があります。この3種類を保健機能食品といいます。それぞれ認定基準が異なっています。

特定保健用食品とは?

 2019年現在も、機能性表示食品より売り上げ総額が大きく、我が国の健康食品を牽引した制度です。認可されている商品数は1061(~2019年1月10日)、1991年より施行されている制度です。

 消費者庁に申請をして許可を受けることになっており、企業に大きな負担が必要となり、中小企業の参入が困難であるなどが問題でした。

更に製品を人で試験を実施し、科学的に根拠を示す必要があります。

 機能性表示食品は、申請して要件を満たしているか書式のチェックを受けて(事実上の審査のようになっていますが)受理される食品で、企業にその責任があることが特定保健用食品との大きな違いです。

現在までに「血糖・血圧・血中のコレステロールなどを正常に保つことを助ける」「おなかの調子を整える」「骨の健康に役立つ」などの保健機能の表示が許可されています。

栄養機能食品とは?

 コンビニエンスなどで特定保健用食品や機能性表示食品よりも製品を多く見かけるように思います。

 消費者庁に申請することなく表示をすることが可能ですが、主にビタミンやミネラルのみに限られます。

例)サプリメント
栄養成分ごとに1日当たりの摂取量の基準値が国によって定められている栄養成分を、その基準値内であれば国の審査の許可申請なしで該当する栄養成分の機能を表示することができます。

特別用途食品とは?

 コンビニエンスストアやスーパーでは、ほとんど見かけないです。ドラッグストア等で経口補水液などを見かけることがあります。

 文字通り、特別な用途のために利用される食品です。例えば、固い食品を摂取できな高齢者などのために利用される「えん下困難者用食品」や食品アレルギーの方への「アレルゲン除去食品」などがあります。

機能性表示を取得するには

 機能性表示を取得するには、大きく分けて、研究を実施して有効性や安全性を検証すること、もしくは文献調査をすることになります。まずは、研究を実施する場合を解説したいと思います。

機能性表示の届出に必要な研究

主に以下の研究が必要になります。
臨床試験
・安全性試験(食経験や文献調査で回避可能)
・作用機序(文献調査で回避可能)
・関与成分分析(十分に規格化されていれば不要)
 文献調査などで研究の実施を回避することも可能ですが、世界の誰かが該当の研究を実施している必要があります。

機能性表示の届出

 上記の全てが揃っていることが機能性表示の必要条件になりますが、表示を受理されるためには消費者庁への届け出が必須です。まずは、Webからの登録が必要ですが、Internet Explorerが必要など、入り口からお役所らしさが漂います。

 つまり、機能性表示届出の本質は『お役所仕事』と言えます。なので、窓口や担当者次第では、良い製品であっても、永遠に受理されないこともあり得ます。

 一般的にお役所の窓口に行く際と同様、(もしくは事務員の方に相談する際と同様)修正を求められたら、素直にその指摘に従うことが基本です。製品の良さやサイエンスとしての妥当性より、担当者の納得する書類になっていることが重要です。回り道、抜け道を探すより、修正点に対する正面突破により難題を解決した事例にも立ち会いました。

 指摘や修正を悪意と受け止めず、担当者なりの善意(もしくは自己保身?)と受け止め、真摯に向き合うことをお勧めしたいと思いました。

文献調査のサポート

 私共も機能性表示食品の届出をサポートしており、主に構造化抄録作用機序研究レビューといった専門家の得意とする部分を多くお引き受けています。

 前述の通り、全体が事務的業務中心であるため、その他の部分は不得意もしくは時間を要しており、私たち以外の企業を紹介することが多いです。お役所仕事が本質ではありつつも、サイエンスが重要であり、可能な限りお役に立てればと思っております。

 機能性表示食品の研究レビューを受託して下さる企業は検索すると、比較的多くヒットします。ですが、実際に作業の見積りをとってみると、
200~500万円程度が相場になるようです。私共で臨床試験を受託する程度の費用であり、確実に機能性表示を取得できるとは限らず、リスクの高い投資的な支出となってしまいます。

 そのリスクを回避するため、福岡県では、「目利き調査」というサービスを実施しています。福岡県の事業者様は、無料で簡易的な調査が依頼できます。福岡県外の事業者様は、残念ながら目利き調査は利用できませんが、同様の調査を安価に受託しております。

機能性表示食品の例

 私共の研究チームが関わり機能性表示を取得した食品をいくつかご紹介させて頂きます。

サフラン:眠気の軽減など

 当研究グループで効果検証を実施して、「眠気を軽減」する効果を示しました。その成果や既存の臨床試験を文献調査することにより。「意欲を維持」「気分の落ち込みを軽減」などの表示が認められています。

調糖唐辛子:血糖値の上昇を抑える

 その名前が示している通り、血糖値を調整する唐辛子です。食後の血糖値を抑えるという研究成果を出すことができ、それが機能性表示として認められました。

カプシノイド:代謝の向上

 筆者が博士号を取得際に実施した研究が、10年以上の歳月を経て、臨床試験や安全性試験をクリアして『基礎代謝の向上をサポート』するという機能性表示が受理されています。

参考文献

機能性表示食品に関する情報https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/about_foods_with_function_claims/
日本医師会:健康の森
https://www.med.or.jp/forest/keyword/kinousei/02.html

講義動画
・食品の機能性

・機能性表示食品