ヘルシンキ宣言とは医師や研究者が守るべき倫理指針であり、「人間を対象とする医学研究の倫理的原則」(日本医師会、http://med.or.jp/wma/helsinki.html)という正式名称です。
このページでは、機能性表示食品などの食品だけでなく香りや化粧品などの天然物に関するヒト試験(ヒト臨床試験)を念頭に置いてヘルシンキ宣言について解説しています。
ヘルシンキ宣言の経緯
ヘルシンキ宣言は、第2次世界大戦における人体実験に対する反省から生じたニュルンベルク綱領(ドイツのニュルンベルクで行われた裁判から生まれた10の要点)をベースに、1964年に世界医師会の総会で採択されました。その後、何度も修正が行われましたが、2013年にブラジルのフォルタレザで行われた総会における修正が最新版となっています。そのため、論文等にはどの版のヘルシンキ宣言に則り臨床試験を実施したのか修正年と開催地を記載してあることが主流です。
ヘルシンキ宣言の主な内容
ヘルシンキ宣言の主な内容は、以下の通りです。
- 被験者の健康、福利、権利を向上し守ることを医師や専門職の債務とする
- 人由来の試料やデータも対象である(遺伝子や血液なども含む)
- 被験者が治験に同意した場合でも、被験者の保護責任は常に医師や専門職にある
- 環境への負荷は最小限にする
- 損害を受けた研究参加者への適切な補償と治療を保証する
- 一般的な科学的原則に従うこと
- 倫理審査委員会を設置し、研究計画書を審査、研究をモニタリングすること
- 被験者のプライバシーを守ること
- 被験者に十分な説明を与えること
- 研究には、インフォームド・コンセントを与える能力がある個人(被験者)が自発的、自主的に参加すること
- 被験者の参加拒否や離脱が、その後の治療等に悪影響があってはならない
- 被験者募集を開始する前に、研究をオープンアクセスのデータベースに登録すること
ヘルシンキ宣言の遵守とヒト臨床試験の運営
食品CRO企業である弊社でも倫理委員会を組織して、ヘルシンキ宣言の遵守を掲げております。
ヒト試験(臨床試験)を運営するマニュアルやモニターの方々への募集要項も可能な限り公開しており、透明性が高くなるように努めております。
モニターの登録についても自由にすることができて、参加後に途中で中止することも自由です。臨床試験のデータベースであるUMINに登録していることが多く、このWebサイトや研究論文も含めて、説明責任を可能な限り果たしていく所存です。