食品の褐変反応

バナナやリンゴの切り口が時間と共に変色することや、照り焼きの調理の際に美味しそうな香りと共に焼色が付いていくこと、また紅茶の色などに食品の褐変反応が関わっています。

褐変は、大きく分けて酵素的褐変現象非酵素的褐変現象の二種類に分けられます。どちらに当てはまるかなどを考えつつ、食品の褐変に関して、10問の正誤式の問題を回答してみて下さい。見出し(目次)の文章を正しいか間違っているかを考え、間違っている場合は正しい表現を考えてみて下さい。

※私共の研究チームによるプロジェクトがクラウドファンディングに掲載されています。私共の研究や木の良さを知って頂くために、是非ご覧頂ければ幸いです。

バナナの表面が褐変するのは、ポリフェノールオキシダーゼの酵素反応による?

食品の変色に酵素が関与している場合は特に植物性食品(果物や野菜類)に多く、ポリフェノールオキシダーゼという酸化酵素の働きによっておきます。この酵素の引き起こす褐色反応を酵素的褐変といいます。ポリフェノールオキシダーゼとはo-ジフェノールオキシダーゼのことを指しますが、一般的には、ラッカーゼやチロシナーゼを含めた三種類の酵素の総称として用いられます。

酵素的褐変はほとんどの植物で起きる反応で、植物性食品の品質と非常に関連しています。とくに、りんごやバナナ、レタス、キャベツ、イモ類によくみられる反応となっています。一方褐変しにくい果実、野菜類も紹介しておきます。代表例としては、レモン、オレンジ、パイナップル、メロンなどがあげられます。

(解答) 〇

【参考資料】
イラストナビ バナナのイラスト https://illust-navi.com/banana/

食塩水はポリフェノールオキシダーゼの反応を促進する?

酵素的褐変の防止法では酵素反応の抑制が基本となります。褐変の基質となるのはポリフェノール成分で果実や野菜においてはポリフェノールオキシダーゼによる反応が主となります。そこでポリフェノールオキシダーゼの反応を抑制するものとして食塩があります。リンゴを向いてお弁当などに入れる際に、色が変化してしまわないように食塩水につけたりしませんか?この行動はまさに褐変防止の最善策なのです。酸化の減少を食い止めればいいわけですから、酸素に触れさせないといった方法ももちろんありますが、正直普通の私生活で酸素に触れないなど難しすぎませんか?!だから皆さん果物を切った際には食塩水につけるといった行動をとるんですよね!

(解答) ✖ 抑制
食塩水はポリフェノールオキシダーゼの反応を抑制します。

アルコルビン酸は酵素的褐変反応を促進する?

リンゴの褐変を抑えるために、上記の食塩を利用する方法の他に、レモン汁を使う方法があります。レモン汁に含まれるアスコルビン酸(ビタミンC)は抗酸化剤としてポリフェノールオキシダーゼによる酸化反応を抑制することにより、酵素的褐変反応を抑制します。

(解答) ✖ 抑制
アルコルビン酸は酵素的褐変反応を抑制します。

テオブロミンやテアルビジンは紅茶の主な色素成分である?

これまでの問題では、酵素的褐変反応が植物性食品の外観を損なう望ましくない反応であり、その反応を抑制する方法について解説してきました。ですが、そんな褐変という反応を積極的に取り入れているものがあります。その一例として茶の製造があります。紅茶特徴の赤色色素はカテキン類の酸化生成物でテアフラビン類とその重合物のテアルビジン類です。ウーロン茶などもこれらによって呈色反応が起きています。

(解答) ✖ テアフラビン
テアフラビンやテアルビジンは紅茶の主な色素成分です。

アミノカルボニル反応とは、アミノ化合物が加熱により分解・重合する反応である?

非酵素的褐変としてアミノ・カルボニル反応、カラメル化反応、脂質の酸化、アスコルビン酸の分解による褐変反応などがあります。例えば、醤油の製造の際に火入れといった加熱処理を行うことで色付け、香りづけを行うといった作業があります。このように、食品を加熱などで(酵素の作用ではなく)褐変反応が起きることを非酵素的褐変、もしくは着目した研究者の名前からメイラード反応とも呼ばれています。近年はこの反応は食品中のアミノ化合物とカルボニル化合物との反応によるものであるため、アミノ・カルボニル反応と呼ばれています。

食品中にはアミノ酸やペプチド・たんぱく質といったアミノ化合物と糖などのカルボニル化合物が常に共存しているため、食品中ではアミノ・カルボニル反応が生じやすいです。複雑な合成反応や分解反応が進み多数の物質が生じることなどから、この反応の最終生成物であるメラノイジンの化学構造はいまだにはっきりとされていません

(解答) ✖ カルボニル化合物+アミノ化合物
アミノカルボニル反応とは、カルボニル化合物アとミノ化合物が加熱により分解・重合する反応です。

生成された窒素配糖体は、シッフ塩基を経てアマドリ転移生成物となる?

アミノカルボニル反応において反応は大きく三段階に分類されます。まずは初期段階です。初期段階では、糖とアミノ化合物が縮合して窒素配糖体を形成し。シッフ塩基を経て、アマドリ転移反応によってアマドリ転移生成物を合成します。次の中間段階では、初期段階で生成したアマドリ転移生成物がレダクトン性化合物を経由して脱水、酸化、脱アミノ反応などによって高い反応のさまざまなカルボニル化合物を生成します。更に同時にストレッカー分解も起きます。最後の終期段階では、中間段階で生成したカルボニル化合物がアミノ化合物と反応したり、互いに重合したりといった反応をおこし、褐色色素であるメラノイジンを形成します。この三段階によって、アミノカルボニル反応は進行します。

(解答) 〇

アミノカルボニル反応の中間生成物と、α-アミノ酸との間で起こるストレッカー分解によって加熱香気が発生する?

『生成された窒素配糖体は、シッフ塩基を経てアマドリ転移生成物となる?』の解答解説に記載している通り、アミノカルボニル反応においてストレッカ―の分解も生じます。ここでは、ストレッカーの分解についてご説明いたします。ストレッカーの分解とは、食欲をそそる食品の加熱香気を生み出す代表的な反応のことをさします。アミノカルボニル反応において生成したα-ジカルボニル化合物がα-アミノ酸と反応して酸化的脱炭酸によって炭素数の一つ少ないアルデヒドとアミノレダクトンが生成します。アルデヒドはご存じの方も多いと思いますが、独特の香気を持っています。よって、この反応が起きるわけです。

(解答) 〇

【参考資料】
栄養士のための食品学実験 第四回 アミノカルボニル反応 http://shokujikken228.hatenablog.com/entry/2014/10/07/233000

アミノカルボニル反応においてグルコースよりもスクロースの方の反応が進みやすい?

アミノカルボニル反応では還元性が必要となってきます。しかし、スクロース(ショ糖)には還元性がない為、この反応は進行しません。スクロール同様に、還元性のない糖(非還元糖)にはトレハロースなどがあります。

(解答) ✖
アミノカルボニル反応においてグルコースよりもスクロースの方の反応が遅い(進みません)。

鉄イオンや銅イオンは、褐変反応を抑制する?

アミノカルボニル反応にはたくさんの因子がかかわっています。ここでは、その因子を大まかに説明したいと思います。

①pH3~8の範囲では、酸性側で遅くアルカリ性側になればなるほど反応は強くなります。
➁およそ10~15%の水分で最も早く反応が進行します。中間水分食品は褐変が生じやすいと言われています(中間水分食品に関する詳細はこちら)。
③化学反応である為高温のほうが反応は促進されます。
④還元糖やアルデヒドとアミノ化合物との褐変反応は酸素の供給がなくとも加熱によって進行しますが、室温付近においては、空気存在下で促進され酸化褐変の寄与が大きくなります。
⑤レダクトン類の酸化を触媒する鉄イオン、銅イオンは褐変を促進します。

(解答) ✖ 促進
鉄イオンや銅イオンは、褐変反応を促進します。

アスコルビン酸は、アミノカルボニル反応を抑制する?

アスコルビン酸はレダクトンであり、酸化されるとα-ジカルボニル化合物となり、 アスコルビン酸の酸化生成物は反応性が高いジカルボニル構造を有することから、実際の食品では褐変反応はアミノ・カルボニル反応として進みます。

(解答) ✖ 酸化物が反応する
アスコルビン酸は、酸化物となり、アミノカルボニル反応がおきます。

【参考資料】
J-STAGE 食品の加熱調理によるアスコルビン酸由来メイラード反応生成物の健康への影響  三宅紀子 酒井清子 曽根保子 伊坂亜友美 鈴木恵美子 倉田忠男  https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajscs/25/0/25_75/_article/-char/ja/

最後に、当サイトにおいて、食品の変化の中でも酸化に特化したページもございます。是非こちらの『食品化学 変化・油』のページもご参考ください。

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