UVA(紫外線A波)による日焼けを予防する試験はPA(Protection Grade of UVA)と呼ばれています。SPFの値が数値で表されることに対して、PAはPA+からPA++++まで段階的に表示されることが特徴です。PA測定はISO24442(2022年改訂版)を参照して実施されます。
PA測定のISOは、SPF測定を記載しているISO24444と双子のように似ていて、10項目あることや小項目(例えば5.1.4といった小さな項目)まで構造が完全に一致しています。主にUVB(紫外線B波)による日焼けを評価するSPFとは細々と異なる部分があり、このページではSPFとの違いを主に解説しています。
大部分はSPF測定マニュアルに記載しているので、まずはそちらをご参照ください。
PA測定に関する用語集
SPFと用語は概ね共通するのですが、以下、PAのみで利用される用語になります。
PPD(persisitent pigment darking、持続性色素沈着):UVAの波長により肌が暗い色になる現象
MPPDD(minimal persisitent pigment darking dose、最小持続性色素沈着用量):UVAの波長により肌が暗い色になる最小の紫外線照射量。-u, -iu, -p, -ipは(例MPPDDip)SPFに同じ。
UVAPF(ultra violet A protect factor):SPF値と同じ概念
PA測定の被験者募集や実験手順
募集要項はSPF測定と同じページを利用できます。人数や年齢などの条件も同じですが、肌の色に対する条件がSPFと異なります。具体的には、ITA°の数値が18~43である点です(ITA°の詳細はこちらのページをご参照ください)。色白と形容される方は参加することができない可能性が高いです。逆に色黒に関しては、日本人でこの範囲に収まらない方は極めて稀です。やや色黒の方々を中心に募集する必要があります。
実験の準備もSPF測定と概ね同様です。最大の違いはUVAの波長を使うことです。これはUVA用のフィルターを使うことで実現します。間違えると、大きな肌のダメージになることや被験者として参加できなくなること、保障をすることも必要になりますので、準備から測定中まで何度も確認してください。
測定実施に際しての大きな違いは、PA用の標準品を使うこと、また日焼けの判定がSPFよりも目立たないので判定が難しいことの2点になります。
PA測定の詳細
SPF測定マニュアルのページにISO24444を詳細に解説していますので、以下の共通する項目はそちらを参照してください。
- 概念
- 測定装置の準備
- 紫外線照射の準備
- 肌色の測定(ITAの計算方法)
サンプルの塗布
SPF試験と同様に標準品の塗布が毎回必要です。SPF試験と標準品が異なりS1とS2と命名されている標準品が登場します。目的としているPAグレードで利用する標準品が細かく定められています。
日焼けの判定
SPF試験とは異なり、分かりやすい赤い変化がありません。褐色(薄い茶色やグレー)になる変化を2~24時間後に判定するようISOで定められています。当研究グループでは、SPF判定と同様に翌日(24時間後)の肌を判定します。
PAグレードの判定
SPFと同様に「塗布をした際の照射時間÷塗布をしていない際の照射時間」が基準となります。
PAはSPFのような数値ではなく、PA+からPA++++の段階的に表示します。PAはSPFほど大きな数字にはならず、UVAPFの値が16以上でPA++++となります。2の累乗で段階的に分けられており、UVAPFの値が2以上でPA+、4以上でPA++、8以上でPA+++と判定されます。
上記の判定基準等は日本化粧品工業連合会のページに詳細が書かれていますが、SPFの数値も併記する必要がある(PA単独での表示は不可)ことが主な留意点です。