このページでは、臨床試験(ヒト試験)を実施する際の準備について、主にメタボリックシンドローム関連の評価試験を例としてマニュアル化しています。最も複雑であり、様々な試験に共通する部分があると思います。
物品の準備
採血の際には、以下の物品を準備します。
滅菌カット綿、エレバンショット、シュアシールド翼付採血セット、23G採血針、アルコール消毒液、消毒用エタノール、アルウエッティ〔単包アルコール含浸綿〕3箱、除菌アルコールタオル、筆記用具、採血針済用入れ、使用済みのゴム手袋を入れる袋、駆血帯



上記にはありませんが、採血者の身長に合わせて上下のできる採血台があると良いでしょう。上記では、2Lのペットボトルとポリ袋を活用し、使用済みの採血針入れを作って活用していますが、バイオハザードボックス(黄色いマークの付いてあるもの)が理想です。その他、アルコール消毒に過敏な方もおられるので、非アルコール消毒製剤も準備しておくことも考慮します。
被験者が安心して試験に参加できて、かつ作業がスムーズに進むように、入念に準備をします。さらに、到着後や準備する前にも、消毒をして清潔に保てるよう、衛生管理には細心の注意を払います。
会場設営
仕切りやテーブルの配置例です。被験者のプライバシーにも気をつけています。

被験者の案内
案内人が被験者を迎えに行き、施錠されている扉の鍵を開けて名前を確認した後、会場まで案内します。その際には必ずマスクを着用します。また、アルコール消毒をした後にゴム手袋をし、エレベーターのボタンなどは案内人が被験者の代わりに押します。このように徹底した衛生管理を行います。
被験者が会場に入る前には、アルコール消毒をしていただいています。前の被験者が試験中の場合、入口付近の椅子で待機していただきます。

被験者が会場に入ったら、尿検査、記録用紙回収、採血、血圧の計測、体重の計測をします。
採血の手順
採血は有資格者(主に看護師の方々)が実施しますが、その順序などを把握して、予めサポートの準備を整えます。採血の手順は以下のように実施します。被験者の方々が入る前に、可能であれば、予め被験者リスト(申込みの際に提示された身長や体重、それから計算したBMI値をあることが望ましい)を採血される方に提示しておくと、被験者様に合わせた準備も可能になります。
①採血者に消毒してもらいます
②右手にゴム手袋をします。
③左側の試験管が被験者のものか確認します。
④被験者にアルコール類をつけても問題ないか確認した後、被験者の腕(注射をする部分)を消毒します。
⑤被験者さまに採血で気分が悪くなったことがあるかを確認します。
⑥握りこぶしを作ってもらい、ピンクのテープを巻きます。
⑧腕を消毒し、注射します。
⑩被験者に指先に痺れがないか確認しながら採血します。
⑪被験者さまに体調が悪くないか確認し、針を抜きます。
この際、 痛みを伴うので被験者さまの気持ちに寄り添います。
⑬注射した部分にテープをつけます。
⑭コットンテープをつけます。
⑮被験者さまに腕を曲げた状態にしていただきます。
血圧測定、その他測定
血圧の測定も有資格者の方々が実施することもありますが、代行することも可能です。
①テープを巻きます。
②被験者さまに深呼吸をしてもらいます。
③計測器のボタンを押します。
④値を記録します。
⑤もう一度測ります。
⑥被験者に最後に食事をとった時間をたずねます。
⑦計測終了後、採血後につけたテープ等をはずします。
体重計、体脂肪計、筋力などを測定することもあります。
片付け
机や仕切りを移動させ、準備をしてもらった方や会場を貸していただいた方へのお礼を込めて掃除をしています。
試験の注意点
被験者様が命です。トラブルが起きた際には、自分の手を止めててでも被験者さんを優先します。扉の開け閉め、会場までの道案内、荷物の置き場のご案内など、被験者様に快く試験していただくよう最大限の配慮をします。
被験者が入れ替わる度に机、にぎるもの、腕を置くマット等を消毒します。試験をする側はどのような被験者さまが来られるか分からないので、その場に応じて臨機応変に対応します。