食品中の色素成分および有害成分

食品には様々な色がありますが、それには化学構造が反映していることが多いです。このページでは、主に食品中の色素について解説しています。一部、毒素となる成分についても解説しています。

以下には、10問の正誤式の問題があります。見出し(目次)の文章を正しいか間違っているかを考え、間違っている場合は正しい表現を考えてみて下さい。

トマトに含まれるリコペンは、ビタミンA効力のある赤色の色素である?

天然の色素成分としてカロテノイド系色素フラボノイド系色素クロロフィル色素ヘム色素などがあります。その中でカロテノイド系色素は植物、動物共に広く分布している色素となっています。カロテノイド系色素はカロテン類、キサントフィル類に分類されます。カロテン類の中でも最も有名なのがβ-カロテンです。プロビタミンAとして栄養学分野でも重要視されえています。また、α-、ɤ-カロテンニンジン、カボチャなど緑黄色野菜に含まれる色素成分や、リコペンといったトマト、すいか、柿などに含まれる赤色成分などが存在します。

リコペンの化学構造
β-カロテンの化学構造

(解答) ✖ Aなし
トマトに含まれるリコペンは、赤色の色素です。

アスタキサンチンは、とうがらしに含まれる赤色の色素である?

天然色素成分のカロテノイド系色素キサントフィル類において、野菜・果実の黄橙食の成分であるα-およびβ-クリプトキサンチン、ルテイン、また、唐辛子成分の赤色成分であるかプサンチンさけ、かに、えびなどの魚介類に含まれる赤色色素のアスタキサンチンなどが存在します。

アスタキサンチンの化学構造

(解答) ✖ エビ
アスタキサンチンは、えび(さけ、かに)に含まれる赤色の色素です。

ルテインは、ほうれん草に含まれるフラボノイド系の色素である?

フラボノイド」とは本来は植物系色素という意味でほとんどの植物に含まれています。主に配糖体として存在し、水溶性を示します。また、フラボノイド系にも類に分けていくつか種類が存在します。一つ目が、フラボノイド類です。とくに光の当たる部分に存在しますが、ヒトの摂取率は大変悪く、体内への吸収率は1%といわれています。フラボノイド類はヒドロキシ基を複数所持しているため、抗酸化作用が強いといった特徴があります。代表例としては、柑橘類の皮などの苦み成分に含まれているナリンギン結晶化しやすいみかんの缶詰のシロップの白濁の原因物質であるヘスペリジンそばや茶に含まれるルチンなどがあります。毛細血管の強化などといった特徴が存在するため、以前はビタミンPとも呼ばれていました。二つ目の類としては、アントシアニン類です。アントシアニンは聞いたことがある方も多いかと思いますアントシアニンは水溶性で植物の細胞液中に配糖体あるいは有機酸が結合した配糖体として存在しています。アントシアニンはpHによって構造が変わり、色が変化するといった特徴があります。アントシアニンの代表的な例としては、シソの葉やなすやブドウの果皮をはじめとした赤色から青色を示す植物の花や果実、葉の色を呈しています。

正解となるキサントフィル類に関しましては、『アスタキサンチンは、とうがらしに含まれる赤色の色素である?』の解答解説をご覧ください。

ルテインの化学構造

(解答) ✖ キサントフィル
ルテインは、ほうれん草に含まれる(カロテノイド系)キサントフィル類の色素である

β-クリプトキサンチンは、柑橘類に含まれるキサントフィル系色素である?

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β-クリプトキサンチンの化学構造

『アスタキサンチンは、とうがらしに含まれる赤色の色素である?』の解答解説をご参考ください。

(解答) 〇

柑橘類のヘスペリジンやそばのルチンは、アントシアン系の色素である?

ケルセチン(ルチンのアグリコン)の化学構造

『ルテインは、ほうれん草に含まれるフラボノイド系の色素である?』の解答解説をご覧ください。

(解答) ✖ フラボノイド
柑橘類のヘスペリジンやそばのルチンは、フラボノイド系の色素です。

なすやしそに含まれる色素は、ナスニンやシソニンなどカロテノイド系色素である?

シアニジンの化学構造

『ルテインは、ほうれん草に含まれるフラボノイド系の色素である?』の解答解説をご覧ください。

(解答) ✖ アントシアン
なすやしそに含まれる色素は、ナスニンやシソニンなどアントシアニン系色素です。

ヘモグロビンおよびミオグロビンは銅を含む赤色色素である?

『トマトに含まれるリコピンは、ピタミンA効力のある赤色の色素である?』の解答解説にてご紹介いたしました天然色素の総称のうち、クロロフィル色素、ヘム色素を総称してポルフィリン系色素といいます。ポルフィリンはピロールが四つメチン基によって環状に結合した化合物の総称で、紫外線から可視波長領域に強い吸収をもつ赤色色素です。クロロフィル色素に関しましては、次の問題で解答解説を記載していますのでこちらでは割愛させていただきます。ということで、ここではもう一歩のポルフィリン系色素であるヘム色素について解説していこうと思います。ヘムといわれると鉄を思い浮かべる方も少なくはないのではないでしょうか。まさにその通りで、ヘムとはポルフィリン環に鉄が配位した構造を持っています。肉食素や血色素の起因はまさにこのヘム色素で、ミオグロビンやヘモグロビンといったたんぱく質によって、呈色されています。お肉を少々放置していたり、怪我して出血した際に時間がたって血が黒っぽくなったりしているのを見たことはありませんか?その変色の減少は鉄の酸化によるものだったりするのです。

ヘムの基本構造

(解答) ✖ 鉄
ヘモグロビンおよびミオグロビンは鉄を含む赤色色素です。

クロロフィルは、カルシムを含んでいる緑色の色素である?

ポルフィリン系色素のうちのクロロフィル色素とは、植物の光合成で光エネルギーをとらえるといった重要な機能を持つポルフィリン系緑色色素です。クロロフィルにはクロロフィルaクロロフィルbが存在し共に脂溶性を持っています。酸性条件下では、マグネシウムの脱離によって黄変してしまうため、グリーンピースの缶詰などは、マグネシウム容器などをと用いて、緑色を保つ工夫がなされています。

ポルフィリンの基本構造

(解答) ✖ マグネシウム
クロロフィルは、マグネシウムを含んでいる緑色の色素です。

じゃがいもの芽などに含まれる配糖体はアミグダリンである?

食品中には身体に好影響を与えるものがい多く含まれていますが、一方で有害な物質を含むものもたくさん存在します。有害物質を分類するなれば、植物中の有害物質動物中の有害物質微生物由来の有害物質が存在します。

ここでは、まず、植物中の有害物質についてご紹介いたします。植物中の有害物質の中でも、タンパク質性有害物アルカロイド配糖体の三つに分けられます。まずはタンパク質性有害物に関してです。たんぱく質といえば穀類ですが、ほとんどの穀類や豆類にはたんぱく質分解酵素阻害剤といったものが存在します。とくにトリプトシンを阻害するトリプトシンインヒビターなどがあります。また、レクチンといったものもあり、豆類に含まれる糖結合タンパク質で赤血球を凝集する作用などがあります。リシンというものはヒマ種子に含まれ、糖たんぱく質ですが、たんぱく質合成を阻害する働きを持っています。これらの物質はたんぱく質に変わりはない為、加熱調理などによって有害たんぱく質を分解して摂取することをお勧めします

次にアルカロイドについてご説明いたします。アルカロイドの代表例としてはジャガイモがあります。ジャガイモにはソラニンとチャコニンが含まれています。ソラニンとはソラニジンをアグリコンとするステロイド系アルカロイド配糖体のことで、発芽部分と表皮のすぐ下の部分に多く含まれています。ジャガイモを傷つけることで、これらは生成され、コリンエステラーゼが合成されます。その影響で嘔吐、下痢、舌の硬直など身体に影響を与えます。よってじゃがいもを食べる際は、発芽部、緑色部位、皮などを除いて調理する必要があります。

最後に配糖体についてご説明いたします。有名なものとしてはキャベツ、なたねなどに存在するグルコシノレートなどがあります。これが加水分解されることで、甲状腺腫を引き起こす物質であるゴイトリンが生じます。また、アーモンドや杏などのバラ科植物の種子にはアミグダリンリマ豆やバター豆などの豆類やキャッサバにはファゼオルナチンなどは、腸内細菌のβ-グルコシダーゼによって加水分解され青酸が作られます。青酸が有害物質だということは某有名アニメやドラマなどでよく使われているため知っている方も多いのではないでしょうか。さらには、ソテツの種子や幹に含まれるサイカシンという配糖体がございます。これはβ-グルコシダーゼによってメチルアゾキシメタノールが生成され、発がん性を示します。

(解答) ✖ ソラニン
じゃがいもの芽などに含まれる配糖体はソラニンです。

【参考資料】
新 食品・栄養科学シリーズ 食品学総論 第三版 食べ物と健康① 森田 潤司  成田 宏史 p98~107

ふぐに含まれる毒素はボツリヌストキシンである?

『じゃがいもの芽などに含まれる配糖体はアミグダリンである?』の解答解説に記載いたしましたうちの動物中の有害物質についてご説明いたします。糖たんぱく質であるオボムコイドは卵白たんぱく質の約10%を占め、トリプトシンを阻害します。また、アビジンも卵白たんぱく質の0.05%を占め、ビチオンと結合してその活性を阻害します。これら以外の阻害剤もご紹介します。淡水魚や貝類の内臓に存在するチアミンピアジニラーゼ(アノイリナーゼ)、ふぐ毒、つむぎはぜ、いもり、かになどに含まれるテトロドトキシンなどがあります。更に貝毒などもあります。貝毒という言葉を聞いたことがあるかたもいるかと思います。最後に貝毒についてご説明させていただきます。麻痺性貝毒にはさまざまな化合物が存在します。最初に構造決定したものはサキシトキシンです。主に二枚貝の中腸線に分布しています。また、オカダ酸、ディノフィシストキシン、ペクテノトキシンによって引き起こされる下痢性貝毒などもあります。これらの毒も二枚貝の中腸線に分布しています。最後にもう一つ。ドウモイ酸というものがあります。この毒は中枢神経の興奮性神経伝達物質を刺激し、胃腸や神経障害が引き起こされます

(解答) ✖ テトロドトキシン

【参考資料】
tenki.jp 毒を秘めた禁断の美食!? ちょっとツウなフグのお話 https://tenki.jp/suppl/marinahishinuma/2016/01/18/9051.html

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