食品の成分には、甘味、苦み、うま味などがあります。これらの成分によって、食品それぞれの違いが生まれている、つまりこれら成分のおかげで食事を楽しめていると言っても過言ではありません。
これら食品の成分に関して、10問の正誤式の問題があります。見出し(目次)の文章を正しいか間違っているかを考え、間違っている場合は正しい表現を考えてみて下さい。

【参考資料】
うま味アカデミー講座 「うま味」と「旨味」は違う 味の素株式会社 https://www.ajinomoto.co.jp/umami/umamipedia/umamipedia1.html
目次
ステビアに含まれる甘味配糖体はアスパルテーム?
天然甘味料として、ステビオシドやグリチルリチンなどがあります。ステビオシドは南米原産のキク科植物ステビアの葉に含まれているジテルペン配糖体です。特徴としては、清涼感のある甘味です。よっておもに、チューインガムやテーブルシュガーなどに用いられます。
またアスパルテームとはL-アスパラギン酸とメチル化L-フェニルアラニンとがペプチド結合したもので、人口甘味物質のうちの一つとなっています。甘さとしてはスクロースの約200倍を示します。加熱とともに分解が起き甘味が失われていきます。更に体内消化、吸収。代謝が行われるといった特徴をも持つ物質となっています。
(解答) ✖ ステビオシド
ステビアに含まれる甘味配糖体はステビオシドです。
アスパルテームを構成しているアミノ酸はアラニン?
『ステビアに含まれる甘味配糖体はアスパルテームである?』の解答解説をご参考ください。
(解答) ✖ Asp+Phe
アスパルテームを構成しているアミノ酸はL-アスパラギン酸とメチル化L-フェニルアラニンです。
こんぶに含まれる、うま味物質のアミノ酸はテアニン?
うま味物質は、アミノ酸系列と核酸系列の二つに分類されます。アミノ酸系列のうま味系列のうま味代表といえば、L-グルタミン酸ナトリウムですが、D-グルタミン酸やL体の二ナトリウム塩にうま味物質は存在しません。
(解答) ✖ グルタミン酸
こんぶに含まれる、うま味物質のアミノ酸はグルタミン酸です。
かつおに含まれる、うま味物質の核酸はグアニル酸?
『こんぶに含まれる、うま味物質のアミノ酸はテアニンである?』の解答解説にてうま味物質の前提となる知識を記載していますので、ご覧ください。ここでは、ほかのうま味物質の紹介をしようと思います。玉露のうま味はテアニン、かつお節のうま味成分は5′-イノシン酸、干しシイタケからの解離によるうま味物質は5′-グアニル酸、貝類や清酒のうま味はコハク酸、イカやタコのうま味はグリシン、ベタインがあります。また、アルギニンは味の持続性、複雑さ、コク、風味に貢献しているといわれています。
(解答) ✖ イノシン酸
かつおに含まれる、うま味物質の核酸はイノシン酸です。
グレープフルーツの苦味を示すフラボノイドはリモネン?
フラボノイドとは本来「植物色素」という意味を持ち、ほとんどの植物に含まれている色素化合物です。多くは配糖体として存在するため、水溶性を担っています。ナリンギンとはグレープフルーツに含まれる苦味物質の名称です。苦味物質は基本味のなかで最も閾値の低い物質となっています。基本的柑橘類の苦味成分はリモニンという前駆体で存在し、搾汁の酸性条件下で合成されます。更に、ナリンギンは無色の結晶性フラバノン配糖体の構造をとっています。
(解答) ✖ ナリンギン
グレープフルーツの苦味を示すナリンギンはリモ二ンです。
ビールの苦味成分はカフェイン?
『グレープフルーツの苦味を示すフラボノイドはリモネンである?』の解答解説に苦味物質における基本知識を記載していますので、ご覧ください。
前の解答解説では、グレープフルーツの苦味物質を紹介いたしましたが、こちらではほかの苦味成分もご紹介しようと思います。ココアやチョコレートの苦味物質であるテオブロミン、コーヒーやお茶の苦味物質であるカフェイン、ビールの苦味物質はイソフムロン、きゅうりの苦味物質であるククルビタシンなどがあります。この他、多くのペプチドは苦味を示すため、グルタミン酸や疎水性アミノ酸とのペプチドなども苦味を呈します。
(解答) ✖ イソフムロン
ビールの苦味成分はイソフムロンです。
とうがらしに含まれる辛味成分はカプサンチン?
辛味、渋味は基本味ではなく、口腔内や舌表面に分布している神経の終末細胞を刺激して味を感じさせています。辛味物質は、硫黄原子を含む揮発性のものであるイソチオシアネート類、スルフィド類と、硫黄原子を含まない不揮発性のものであるイソシアネート類、アミド類、バニリルケトン類とに分けられています。唐辛子には、アミド類の辛味物質が二つ入っています。一つ目はイオウを含まないカプサイシン、二つ目は不揮発性を持つジヒドロカプサイシンです。
(解答) ✖ カプサイシン
とうがらしに含まれる辛味成分はカプサイシンです。
【参考資料】
アスレシピ 食べ物のおいしさを感じられる要因は「五感」と「五味」 https://athleterecipe.com/column/21/articles/1844160
わさびに含まれる辛味成分はピペリン?
『とうがらしに含まれる辛味成分はカプサンチンである?』の解答解説にて、辛味物質における前提となる知識を記載しているので、ぜひご覧ください。ワサビの辛味は、辛子配糖体がミロシナーゼという酵素によって加水分解され辛味物質のイソチオシアン酸エステルが生じます。
(解答) ✖ イソチオシアネート
わさびに含まれる辛味成分はイソチオシアネートです。
コーヒーに含まれる渋味成分はエラグ酸?
『とうがらしに含まれる辛味成分はカプサンチンである?』の解答解説にて、渋味物質における前提となる知識を記載しているので、ぜひご覧ください。渋みに関して有名どころをご紹介いたします。茶に含まれる成分がカテキン類、コーヒー中に含まれる成分がクロロゲン酸、栗に含まれる成分がエラグ酸、柿に含まれる成分がシブオールがあります。これらの渋味物質はフェノール性抗酸化剤としても注目されています。
(解答) ✖ クロロゲン酸
コーヒーに含まれる渋味成分はクロロゲン酸です。
にんにくに含まれる主な香り成分はγ-ウンデカラクトン?
香りは、不飽和のアルデヒド類やアルコール類、エステル類などによって成り立っています。大まかに分けると植物性香気、動物性香気があります。今回の問題にあるにんにくはもちろん植物性ですよね!では、今から植物性香気の例を紹介していこうと思います。緑葉では3-ヘキセノールと2-ヘキセナール、野菜果実では3,6-ノナジエノールと3,6-ノナジエナール、大豆の青臭さはn-ヘキサナール、バナナでは酢酸イソブチルと酢酸イソアミル、ぶどうではアントラニル酸メチル、オレンジではリモネン、みかんではゲラニオール、桃ではγ-ウンデカラクトン、たまねぎの催涙成分ではチオプロパナールS-オキシドなどがあります。問題にあるニンニクに関しては少々詳しくご説明いたします。ニンニクの場合、アリシンといった物質が香気物質なのですが、アリインからアリルスルフェン酸を経て得られます。
(解答) ✖ アリシン
にんにくに含まれる主な香り成分はアリシンです。
最後に、『食品成分(2)』では、特定の食品のみが持つ成分について設問、解答解説をご用意しております。
是非そちらも取り組んでみてください。