脂質の酸化:自動酸化の仕組みや予防法など

脂質の自動酸化は、重合反応だけでなく分解反応も起こる?

次の問題『油の熱酸化が進行すると、ヒドロペルオキシドが蓄積する?』の解答解説にて記載しております通り、ヒドロペルオキシドの重合も行われますが、同時に分解も行われています。

自動酸化のながれをご紹介いたします。まず、何らかの機構で不飽和脂肪酸から水素結合が引き抜かれます。よって、アルキルラジカルといった物質が生成されます。この物質に³O₂が結合し、ペルオキシラジカルとなります。この物質は、未酸化の不飽和脂肪酸から新たに水素原子を奪うことでヒドロペルオキシドとなりあいてに不対電子を残します。自動的に次の不飽和脂肪酸が酸化されていき、まさに自動的に酸化反応が進みます。

ブチルヒドロペルオキシド
ヒドロペルオキシドの例(ブチルヒドロペルオキシド)

(解答) 〇

油の熱酸化が進行すると、ヒドロペルオキシドが蓄積する?

脂質の酸化は自動酸化以外に金属酵素などによっても引き起こされます。このような自動酸化以外によってしょうじたヒドロペルオキシドも自動酸化の時と同様に分解、重合されます。さらには、これらの過程で生まれた生成物が自動酸化のラジカルの引き金となるという説も存在しています。

熱酸化では、さらに分解が進行するため、ヒドロペルオキシドは蓄積されません。

(解答) ✖ 
油の熱酸化が進行すると分解が促進され、ヒドロペルオキシドが蓄積されません。

脂質の酸化により生じるヘキセナールやヘキサナールは色戻りの原因となる?

精製された油は色も薄く無臭ですが、酸化の進行とともに油特有のにおいを発するようになります。油酸化のごく初期から感知されるものを戻り臭、さらに、酸化が進んだ場合を変敗臭とよびます。戻り臭はリノレン酸含量の高い大豆油で起こりやすくなっています。この原因物質は、2-ペンチルフランや3-シス-ヘキセナールが考えられています。この他にも、100種にも及ぶ揮発性物質が酸化油中から同定されています。
また、酸化により共役ジエン構造が生じるため、油脂の色が濃くなります。この変化を色戻りといいます。また、この色戻りの原因物質の一つとしてɤ-トコフェロールが酸化されて生じるトコレッドああります。

(解答) ✖ 戻り臭
脂質の酸化により生じるヘキセナールやヘキサナールは戻り臭の原因となります。