脂質の分析

五大栄養素の一つに脂質があります。脂質による作用は構造などの緻密な計算をされた上で、私たちの生活の周辺で様々な点で活躍しています。

そこで身近な脂質な作用に関して、10問の正誤式の問題があります。見出し(目次)の文章を正しいか間違っているかを考え、間違っている場合は正しい表現を考えてみて下さい。

ケン化価の大きい油脂ほど、構成脂肪酸の平均炭素鎖は長くなる?

グリセリドをアルカリ加水分解することケン化といいます。この時に得られる脂肪酸のアルカリ塩が石けんです。石けんは硬水では泡立ちにくいといった知識を聞いたことがある方は少なくはないと思います、その理論はここにあります。カルシウムやマグネシウム、鉄などのイオンを多く含むとき、高級脂肪酸が水に不溶性の塩をつくるため、泡立ちが悪くなるのです。
ケン化の度合いを知るためにケン化価といったものがあります。油脂1gをケン化する際に必要なKOHの㎎数を指します。ケン化価は構成脂肪酸の平均分子量を反映するため、短鎖脂肪酸などはもちろん分子量が小さくなるため、値は低くなります。

化学式 01

(解答) ✖ 短くなる
ケン化価の大きい油脂ほど、構成脂肪酸の平均炭素鎖は短くなります。

【参考資料】
「石けん素地」の原料について 牛乳石鹸共進社株式会社  https://www.cow-soap.co.jp/event/whats-sekken/capter02/

酸価は、油脂から遊離したグリセリン酸によって上昇する?

酸価とは油脂1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するために必要なKOHの㎎数を指します。これは、それぞれの油脂に固定の値なわけではなく、加水分解や酸敗の程度を表す指標となっています。

(解答) ✖

ケン化価および酸価の測定には酸化カリウムを用いる?

ケン化価は油脂に水酸化カリウムのエタノール溶液を加え、熱っしてグリセリドをけん化させることで、脂肪酸のカリウム塩とグリセリンまでに分解させます。また、グリセリドは有機酸と反応して脂肪酸のカリウム塩を生成します。このようにして油脂1gをケン化する際に必要なKOHの㎎数を求めます。また、酸価は、油脂にエタノール・エーテル 混液を加えて溶解させ、数滴のフェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30 秒間持続する淡紅色を呈するまで水酸化カリウム溶液で滴定します。滴定に要した水酸化カリウム溶液の液量から、酸価を求めます。

(解答) ✖ 水酸化カリウム
ケン化価および酸価の測定には水酸化カリウムを用います。

ヨウ素価とは、油脂1gに付加されるヨウ素のg数である?

ヨウ素価とは油脂100gに付加するハロゲンの量をヨウ素のg数で表した値となっています。ヨウ素価とは構成脂肪酸の不飽和度を示し、ヨウ素価が高いほど二重結合が多く、柔らかく、酸化されやすくなっています。

(解答) ✖ 100g
ヨウ素価とは、油脂100gに付加されるヨウ素のg数です。

ヨウ素価の高い油脂ほど、その油脂の構成脂肪酸の炭素数が多い?

『ヨウ素価とは、油脂1gに付加されるヨウ素のg数である?』の解答解説をご参考ください。

(解答) ✖ 二重結合
ヨウ素価の高い油脂ほど、その油脂の構成脂肪酸の二重結合の数が多くなっています。

過酸化物価は、油脂の酸化によって生成された遊離脂肪酸の量を示す値である?

過酸化物価とは、油脂にヨウ化カリウムを加えた場合に遊離されるヨウ素を油脂1㎏に対するミリ当量数で表した値を指します。またこれは、自動酸化の初期に生成するヒドロペルオキシド量でもあります。

(解答) ✖ ヒドロペルオキシド
過酸化物価は、油脂の酸化によって生成されたヒドロペルオキシドの量を示す値でもあります。

過酸化物価は、ヨウ化カリウムを用いて測定する?

ヒドロペルオキシドとヨウ化カリウムとの 反応により生成したヨウ素分子の量は、チオ 硫酸ナトリウムを用いた酸化還元滴定で求め られます。滴定には、ヨウ素でんぷん 反応が利用され、今回の呈色変化はチオ硫酸ナ トリウムを加えていくため、ヨウ素分子が還元されてでんぷんから遊離し、色が薄くなります。色が消えた時点が滴定の終点となります。

(解答) 〇

2種類の油脂で、それらの脂肪酸組成が同じならば融点は等しい?

不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸より融点が高い?』の解答解説をご参考ください。構成脂肪酸が同じでもグリセロールに結合している脂肪酸の配置二重結合の位置二重結合のシス・トランス型かの違いなどによっても油脂の融点は異なってきます。

(解答) ✖
2種類の油脂で、それらの脂肪酸組成が同じであっても融点は等しくありません。

硬化油は、油脂に含まれる不飽和脂肪酸の一部に酸素添加した油である?

水素添加は、不飽和脂肪酸のみに行われます。その原因としては、不飽和脂肪酸にある炭素の二重結合部分に水素は添加されるからです。水素添加されると不飽和脂肪酸は、融点が上がり酸化されにくく保存性がよくなります。よって硬化するため硬化油の製造には水素負荷が行われます。

(解答) ✖ 水素
・硬化油は、油脂に含まれる不飽和脂肪酸の一部に水素添加した油です。

【参考資料】
油脂の水添(1) 安田耕作 日清製油株式会社  https://www.jstage.jst.go.jp/article/jos1956/36/1/36_1_75/_pdf/-char/ja

コリンを含んだ代表的なグリセロリン脂質は、ジアシルグリセロールとよばれる?

レシチンは植物界、動物界に分布しているリン脂質の一つです。レシチンは細胞膜の主成分の一つです。さらに脳にもいい脂質となっているのでアルツハイマー病などの予防にも効果ありといわれています。

(解答) ✖ フォスファチジルコリン(レシチン)
コリンを含んだ代表的なグリセロリン脂質は、フォスファチジルコリン(レシチン)とよばれる

今回の分野は、有機化学などの計算問題で、高校などで学ぶ内容かと思います。是非高校の化学の問題集などを引っ張り出してみてください。構造を知った今だからこそ、解きやすくなったいるかもしれませんね!

また、当サイトの『脂質(1)』というページに 脂質の基本情報や、構造、性質などについて詳しく触れているので、そちらのページも是非ご覧ください。

更に、当サイトの『生物化学Ⅱ 脂質』といったページでも、脂質に関する知識をベースとした設問、解答解説を掲載しておりますので、ご参考ください。

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