脂質の化学的性質

五大栄養素の一つとして脂質というものがあります。今回の脂質(1)では、脂質の基本情報や、構造、性質などに関して、10問の正誤式の問題があります。見出し(目次)の文章を正しいか間違っているかを考え、間違っている場合は正しい表現を考えてみて下さい。

飽和脂肪酸のうち炭素数12個以上のものは、常温で液体である?

脂肪酸は二重結合の有無によって、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸に分けられます。不飽和脂肪酸は更に二重結合の数によって一価、二価、三価などといった名称がつきます。また、二価以上の不飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸といいます。炭素数が8~12の脂肪酸を中鎖脂肪酸炭素数12以上の脂肪酸を長鎖脂肪酸といいます。長鎖脂肪酸の特徴は脂溶性であることです。

(解答) ✖ 固体
飽和脂肪酸のうち炭素数12個以上のものは、常温で固体をとります。

不飽和脂肪酸は二重結合があるため、直線状になる?

(解答) ✖ 折れ曲がる
不飽和脂肪酸は二重結合があるため、折れ曲がった構造をとります。

n-3系の不飽和脂肪酸とは、カルボキシル基側から数えて、最初の二重結合を構成する炭素が3番目のものをいう?

脂肪酸の炭素数に数字を付けて数える際に、メチル基のほうから数えていきます。n-〇系の〇とはメチル基から〇番目に二重結合が存在するといったことを指しています。よってここを見ることで構造のベースを知るこちができます。

(解答) ✖ メチル基
n-3系の不飽和脂肪酸とは、メチル基側から数えて、最初の二重結合を構成する炭素が3番目のものをいいます。

魚油に多く含まれるIPAやDHAはn-6系脂肪酸である?

n-3系脂肪酸は、IPAやDHAなどのことを指し、などに多く含まれています。しかし、この特徴として酸化しやすいといった点があるため、焼き魚などに調理した際、摂取できるDHA自体はかなり減っているといった難点があります。そのため、普段の食生活から、必要な量を摂取しようと思うと、かなり気を付けた食生活を送らないかぎり難しいと思われます。一方、n-6系脂肪酸コーン油やごま油、グレープシードオイルなどに含まれています。一定量の摂取はもちろん身体に好影響なのですが、調理の際に油というものはやはり必須なものなので、過剰摂取になりがちな脂肪酸となっています。

(解答) ✖ n-3
魚油に多く含まれるIPAやDHAはn-3系脂肪酸です。

不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸より融点が高い?

まず基本的知識として押さえておいてほしいのが、飽和脂肪酸は室温状態で固体であり、不飽和脂肪酸は室温状態で液体であるといった点です。今からその理論をご説明いたします。脂肪酸の融点は、炭素数、二重結合数、水酸基、シス・トランス異性体などに影響されます。炭素数所謂分子量に影響され、さらには飽和脂肪酸は基本的に直鎖上構造をとるため、密集しやすく、温度に変化を与えにくい為、融点は高くなります。一方不飽和脂肪酸は二重結合を保持しているため、形がそれぞれ違っていて、並べた際に空間が生まれます。よって、温度に変化をもたらしやすくなるため、融点は低くなります。さらにシス型とトランス型ではトランス型のほうが融点高くなっています。

(解答) ✖ 低い
不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸より融点が低くなっています。

ヒトの体内では、リノール酸からドコサヘキサエン酸を合成することがでない?

動物細胞ではn-3、n-6不飽和化酵素を持たないため、n-3、n-6位に二重結合を導入できません。よって、オレイン酸は合成可能ですが、リノール酸やリノレン酸は合成できません。よってもちろんリノール酸からドコサヘキサエン酸にへの合成も行われません。ですが、リノール酸から合成されるはずのアラキドン酸は必須脂肪酸となっています。

(解答) 〇

ロイコトリエンは、短鎖飽和脂肪酸から作られる?

プリスタグランジンやロイコトリエンなどは、生理活性物質の前駆体として重要であることから、必須脂肪酸であるとされています。
近年では、プリスタグランジンやロイコトリエンの生成には、アラキドン酸とイコサペンタエン酸のバランス次第で合成可能であるといわれています。

(解答) ✖ 
ロイコトリエンは、n-6系列のアラキドン酸とn-3系列のイコサペンタエン酸から作られる

【参考資料】
油と脂の美容健康知恵袋 N3系脂肪酸とN6系脂肪酸の違いとは?取り入れるべき脂肪酸 https://oil-life.jp/n3kei-n6kei/

大豆油の脂肪酸組成で最も多いのはオレイン酸である?

大豆油、なたね油α-リノレン酸を含み、オレイン酸はおもにオリーブ油に含まれているといわれています。また大豆には、絞れるほどリノール酸が含まれているという知識も必須知識となっているのでしっかりと暗記しておきましょう。

(解答) ✖ リノール
大豆油の脂肪酸組成で最も多いのはリノール酸です。

ラードは、オリーブ油に比べて不飽和脂肪酸の割合が大きい?

『不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸より融点が高い?』の解答解説にても記載いたしました通り、飽和脂肪酸は基本的に室温では固体の油で不飽和脂肪酸は基本的に室温で液体の油となっています。ここで、オリーブオイルとラードを思い浮かべていただけますでしょうか。オリーブオイルは液体、ラードは固体ですよね?つまりそういうことです!オリーブオイルは液体つまり、不飽和脂肪酸が多くラードは固体つまり、飽和脂肪酸が多いのです。

(解答) ✖ 小さい
ラードは、オリーブ油に比べて不飽和脂肪酸の割合が小さくなっています。

なたね油に含まれているエルシン酸(エルカ酸)は、精製段階で除かれている?

菜種油には身体に悪影響を与えるエルカ酸やグルコシノレートが含まれています。しかし、現在では、品種改良などによって、これらの物質が含まれないなたねが作られるようになりました。

(解答) ✖ 品種改良でエルカ酸のない品種

脂質についてまとめたわかりやすい画像があったため掲載させていただきます。是非ご参考ください。

【参考資料】
スポーツショップコダマ 知っておくべき脂質の話 http://sp-kodama.com/post-965/

脂質について、構造や種類、役割などほぼすべてのことに触れられている動画を拝見したため、こちらに張らせていただきます。この動画一本で、脂質についての基本事項やこのサイトの内容を理解為のお手伝いとなるはずです。
是非、ご覧ください。

当サイトの『脂質(2)』というページでは、脂質のけん価やヨウ素価などについての設問、解答解説を掲載しておりますので、ぜひご覧ください。

当サイトの『生物化学Ⅱ 脂質』といったページで、脂質に関する知識をベースとした設問、解答解説を掲載しておりますので、ご参考ください。

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