水産食品の化学的性質

魚肉は畜肉に比べて肉基質たんぱく質が少ないため、肉が軟らかい。

魚肉の構成成分は約20%が筋肉たんぱく質、約65~85%は水分、残りは脂質・炭水化物、ビタミン類からなり、これらのうち食肉類と同様に、筋原線維たんぱく質、肉基質たんぱく質、筋漿たんぱく質の3つに分類されます。
筋肉たんぱく質については、当サイトの『肉基質たんぱく質にはコラーゲンやエラスチンが含まれ、その含量が多いほど肉質は柔らかい?』の解答解説をご覧ください。

肉基質たんぱく質は主に、コラーゲンエラスチン(硬たんぱく質)といわれるもので、結合組織の成分であり、肉の硬さに影響しています。
肉基質たんぱく質の含有量は魚肉で約2~5%畜肉で約10%となっており、一般に魚肉は畜肉に比べて肉質が柔らかく、身が崩れやすいです。

(答え)〇

【参考文献】
鈴廣 魚肉たんぱく研究所 魚肉タンパク質を中心としたタンパク質を知るための情報と研究サイト
https://www.kamaboko.com/fishprotein/lecture/fish-protain/

魚介類のアミノ酸組成は一般に、リジンを豊富に含む。

多くの魚介類のアミノ酸スコアは、100ないしは100に近い値を示し、良質なたんぱく質供給源です。
たんぱく質のアミノ酸スコアは、動物性たんぱく質では高く、逆に植物性たんぱく質では種類によってはかなり低いものもあります。
小麦のアミノ酸スコアは44、米は65であり、いずれも第一制限アミノ酸がリシンとなっています。
そこで、リシンを豊富に含む魚介類とパンや米を一緒に摂ることで、アミノ酸補足効果が期待できます。

(答え) 〇

【参考文献】
文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂)アミノ酸成分表編 魚介類
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/12/20/1365347_2-0210-2r11.pdf
和泉秀彦/三宅義明/舘和彦.栄養科学ファウンデーションシリーズ 食品学.
朝倉書店,2014,113p

赤身魚は白身魚に比べてリジンを多く含むので、アレルギーの原因になりやすい。

魚介類の中でも、赤身魚(かつお、まぐろ、さばなど)やその加工品には、ヒスチジンが多く含まれています。これらの魚を常温に放置するなど、鮮度が低下するような不適切な管理が行われると、ヒスタミン産生菌の酵素が作用して、ヒスチジンからヒスタミンが生成されます。


ヒスタミンによる食中毒は、ヒスタミンが高濃度に蓄積された食品、特に魚やその加工品を食べることにより発症する「アレルギー様」の食中毒です。アレルギー様とは、免疫反応異常によっておこる食物アレルギーとは発症機構が異なりますが、症状が似ているのでアレルギー様といわれています。

(答え) ヒスチジン

【参考文献】
魚とヒスタミン&ヒスチジン
https://umito.maruha-nichiro.co.jp/article129/
食品安全委員会 ファクトシート(ヒスタミン)
https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/210330histamine.pdf

魚介類には高度不飽和脂肪酸が多く含まれ、飽和脂肪酸はあまり含まれていない。

魚介類の脂肪酸組成の特徴は、n-3系不飽和脂肪酸であるEPAやDHAが多く、総脂肪酸の20~50%を占めていることです。
ですが、その他の脂肪酸では、畜肉と同様に、飽和脂肪酸であるパルミチン酸やオレイン酸が多く、多価不飽和脂肪酸であるリノール酸やリノレン酸が少なくなっています。

(答え) 飽和も多い

【参考文献】
和泉秀彦/三宅義明/舘和彦.栄養科学ファウンデーションシリーズ 食品学.
朝倉書店,2014,113~114p