水産食品の化学的性質

トリメチルアミンオキシドは海水魚の魚臭物質であり、鮮度低下に伴い鮮度低下に伴い揮発性塩基窒素量が増加する。

トリメチルアミンオキシド(TMAO)は、海水魚に多く含まれる無毒の物質ですが、魚の死後、鮮度の低下とともに、トリメチルアミン(TMA)に変化して生臭さを発生させます。この臭気はpHの上昇とともに強くなります。

「揮発性塩基窒素量(VBN)」とは魚介類の腐敗を判定する指標です。VBNはアンモニアやジメチルアミン、トリメチルアミンなどのアルカリ性窒素化合物を測定するもので、これらが100g中30mg以上で初期腐敗とみなされます。

(答え) オキシド不要
トリメチルアミンが腐敗臭の主成分

【参考文献】
食のはなし Vol.53-魚介類の食中毒
https://www.crc-group.co.jp/esc/hanashi/syoku-53.html

エビやカニの殻には、カロテノイド系色素のアスタキサンチンが存在する。

アスタキサンチンは自然界に広く分布している天然の赤い色素で、サケやエビ、カニなどに多く含まれるカロテノイドの一種です。
動物はアスタキサンチンを自ら作り出すことはできません。第一生産者であるヘマトコッカスと呼ばれる海の藻類をオキアミなどの動物プランクトンが食べ、さらにエビ、カニ、魚類、というように食物連鎖によってさまざまな生物の体に取り込まれています。したがってアスタキサンチンは植物由来のカロテノイドです。
サケはもともとマスと同じ白身の魚ですが、サケ類の筋肉の赤色は、餌として摂取したプランクトンや藻類のカロテノイドに由来します。
エビやカニの殻には、アスタキサンチンがたんぱく質と結合した形で存在しているため、青色を呈していますが、加熱するとたんぱく質部分が熱変性してアスタキサンチン本来の赤色が現れます。

(答え) 〇

【参考文献】
天然色素カロテノイド アスタキサンチンとは FUJIFILM からだサイエンスラボ
https://ls-jp.fujifilm.com/karada-science-labo/astaxanthin/effects/what-is-astaxanthin/

魚の鮮度は、魚肉中のATPとその分解物の全量に対するイノシン酸とヒポキサンチンの割合で示される。

魚の理化学的鮮度指標として「K値」が用いられます。
魚類の筋肉中には,アデノシン三リン酸(ATP)という運動のエネルギー源となる物質があり,魚の死後には次のように分解されることが明らかになっています。

すなわち、K値はATPとその分解生成物全量に対するHxR+Hx(イノシン+ヒポキサンチン)量の百分率であり、その値が小さいほど鮮度が良好なことを示します。

一般的にK値が60%以上となると腐敗、刺身として適当とされるK値は20%といわれています。また、タラや赤身魚はK値の上昇速度が速く、タイやヒラメなどの白身魚は比較的上昇速度は緩やかであるなど、K値の上昇度合いは魚種により異なることが知られています。

K値が上昇しやすく劣化の早いタラは冷凍すり身などに加工されています。すり身とは、魚の身をすり潰して魚の形を無くしたもので、これを固める事で、かまぼこを始めとしたカニカマ、ちくわ、揚げかまぼこ、はんぺん、なると、つみれ、魚肉ソーセージなどの練り製品がつくられます。1960年に「北海道中央水産試験場」がスケトウダラのすりみの冷凍変性をほぼ完全に抑える技術を開発し、練り製品の生産に大革命をもたらしました。

さばなどの脂肪分の多い魚の処理には、「酢じめ」が一般的です(しめさばが代表的)。酢じめとは、魚肉の身を食塩でしめた後、食酢に浸してさらに肉質を引き締める調理法で、食酢に浸すことで魚肉が白く、肉質は硬くなります。食塩によって表面は脱水変性して身が締まり、また食酢によって魚臭成分のトリメチルアミンが減少し、酸により保存性も向上します。

【参考文献】
魚肉の理化学的鮮度指標「K値」について‐食品分析 ビューローベリタスエフイーエーシー株式会社
https://bv-foodtesting.jp/news/2022/220519.html
魚の生鮮度「K値」 広島県
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/26/foodfaq1-3.html
富岡和子/遠藤金次.各種魚肉のK値変化速度とイノシン酸分解酵素活性.1983年,
https://www.jstage.jst.go.jp/article/suisan1932/50/5/50_5_889/_pdf/-char/ja

(答え) イノシン