乳製品に含まれる成分・物理的な性質

牛乳は母乳に比べて、糖質、たんぱく質およびミネラルが多い?

乳幼児に母乳の代わりに牛乳を与えてはいけないといった知識は常識かと思われます。その理由のうちのひとつ、母乳と牛乳とでは含有成分が大きく異なります。
以下に人乳(母乳)と牛乳の成分組成を示します。

このように、牛乳は母乳に比べてたんぱく質やミネラルが多く含まれているのに対し、炭水化物(糖質)は母乳のほうが1.5倍多く含まれています。

(答え) 糖質は少ない
牛乳は母乳に比べてたんぱく質およびミネラルが多い。一方糖質は母乳のほうが牛乳に比べて多く含まれている。

【参考文献】
牛と人の乳の違い 一般社団法人Jミルク
https://www.j-milk.jp/knowledge/nutrition/8d863s000000q6q5.html

牛乳には約3%のたんぱく質が含まれており、その約8割が単純タンパク質のカゼインである?

「牛乳」は生乳のみを原料とした成分無調整の製品のことです。
乳脂肪分3.0%以上無脂乳固形分8.0%以上の成分規格があり、生菌数は1mlあたり50000個以下と規定されています。

牛乳200mlあたり約6~7gつまり約3%ほどの割合でたんぱく質が含まれており、そのうち約8割がリンタンパク質のカゼイン、残りの約2割は乳清たんぱく質(ホエー)です。
牛乳中に含まれるたんぱく質はコップ二杯で一日に必要な必須アミノ酸を摂取できると言われているほど良質なたんぱく質を摂取することが出来ます。つまり非常にアミノ酸コストの高い食べ物なのです。

アミノ酸コストについてはこちらのサイトをご覧ください。
タンパク質の栄養的役割
https://userlife.science/basics/nutrition-science/protein/

カゼインとは、牛乳に酸を加えたときにpH4.6で沈殿(凝固)するリンたんぱく質のことです。
α-カゼイン、β-カゼイン、κ-カゼインに分類され、体内での分解によりペプチドが形成されます。乳カゼイン分解物である、カゼインホスホペプチド(CPP)カゼインドデカペプチドは機能性成分として知られています。また、牛乳アレルギーの主要なアレルゲンです。
機能性につきましては、当サイトの『機能性食品に含まれる有効成分』で詳しく説明しておりますので、ご覧ください。

乳清たんぱく質とは、牛乳に酸を加えたときに沈殿せずに上澄みとなる乳清に含まれるたんぱく質の総称です。その半分は、β‐ラクトグロブリンであり、他にはα‐ラクトアルブミンラクトフェリン免疫グロブリン等で構成されています。
β‐ラクトグロブリンは、システインを含むため加熱臭の原因になります。また、牛乳アレルギーの主要アレルゲンでもあります。
ラクトフェリンの含量はごくわずかですが、強い鉄結合能を持っているため、鉄要求性の殺菌に対して静菌作用を示します。

(答え) リン脂質を含む複合タンパク質
牛乳には約3%のたんぱく質が含まれており、その約8割がリン酸を含む複合たんぱく質のカゼインである。

【参考文献】
カゼインって何?グルテンとの違い、カゼインを多く含んだ食品とは? 神様の食材
https://www.kami-shoku.com/kami_column/18561/

牛乳のたんぱく質 一般社団法人Jミルク
https://www.j-milk.jp/findnew/chapter2/0404.html

東京アカデミー.2020年版 管理栄養士国家試験対策 完全合格教本 下巻.
七賢出版株式会社,2019,136~137p

おすすめのカゼインプロテインは?効果と最適な飲み方を解説!【プロが教えるプロテイン Vol.3】 ORICON NEWS
https://www.oricon.co.jp/special/55993/#link1

牛乳中のラクトフェリンは鉄2個を結合することができ、鉄と結合すると赤色になる?

牛乳中の乳清たんぱく質であるラクトフェリンは母乳や涙、唾液、血液などに存在する鉄結合性たんぱく質で鉄と結合することで赤色を示す点から「赤いタンパク質」として名が知られています。
なかでもヒトの乳、特に出産後の数日間に分泌される初乳に豊富に含まれることが明らかになっています。ラクトフェリンは鉄と結合する性質を示すことから、「ラクト(=乳由来の)フェリン(=鉄結合性タンパク質)」と名付けられました。ラクトフェリンの特徴的な赤色は結合した鉄に由来します
腸内に入ると大腸菌の増殖を抑え、善玉菌であるビフィズス菌を増やす働きを有していることから、乳幼児の栄養分になるだけでなく感染症などからの感染も防ぐ役割を担っています。

(答え) 〇

【参考文献】
ラクトフェリン(赤タンパク質) ダイエットと料理レシピのコツ
http://www.drrk.net/amino_17.html
ラクトフェリン イノベーションストーリー 森永乳業の研究開発 学ぶ・体験する 森永乳業株式会社
https://www.morinagamilk.co.jp/learn_enjoy/research/story/lactoferrin/

β-ラクトグロブリンは乳清タンパク質の約半分を占め、レチノールを結合する?

β-ラクトグロブリンは、牛乳たんぱく質中の乳清たんぱく質に含まれ、その約半分を占めます。
栄養学的には必須アミノ酸をバランスよく含んでいる非常に効果的なタンパク質です。しかし、牛乳アレルギーにおける最も強力な原因物質(アレルゲン)と呼ばれており、現在ではアレルギー対応食としてβ-ラクトグロブリン除去食も販売されています。
β‐ラクトグロブリンは、レチノール(ビタミンA)と強く結合する性質を持つことから、小腸におけるビタミンAの吸収に関与すると考えられています。

(答え) 〇

【参考文献】
乳アレルギーの原因や症状から対処法、食べられない食品まとめ -【イート】 EAT
https://eatatefood.com/allergy/milk-allergy-info/