乳製品に含まれる成分・物理的な性質

牛乳に含まれる脂質は、リン脂質を含む脂肪球膜に包まれた脂肪球に含まれる?

牛乳の脂質は中性脂肪(トリアシルグリセロール)が約98%、残りはリン脂質、コレステロール、糖脂質、脂溶性ビタミンです。

牛乳中には脂肪球という非常に小さな物質が含まれています。脂肪球とは数マイクロメートルほどの脂質成分ですが、水分と油分との相性は非常に悪く混ざり合うことが出来ないため、表面をリン脂質による皮膜によって覆うことで水中において安定しているのです。
このように牛乳中ではリン脂質が水分と油分の仲介を行うことで安定して存在し分離せずに脂肪球が存在しているのです。

販売されている牛乳はすでに脂肪球を安定化させる均質化をしていますが、絞りたての牛乳などは脂肪球の大きさなどで分離がしやすく、これらの性質がゆえに生クリームの製造、またバターなどの生成が可能となるのです。

(答え) 〇

【参考文献】
なぜ牛乳はバターになるのか? イミダス
https://imidas.jp/science/?article_id=k-051-019-11-08-g385

牛乳の均質化処理では、クリーム層が分離する?

牛乳生成中に存在する均質化という操作は生乳中にある乳脂肪球の大きさを細かい粒子にすることを指しています。つまり、上記の『脂質はリン脂質を含む脂肪球膜に包まれた脂肪球に含まれる?』にも記した通り、搾りたて牛乳に存在する大きさがばらばらの脂肪球を商品化するために脂肪球の大きさをそろえるように均質化するのです。

生乳に強い圧力をかけ機械内にある狭い隙間を通過させて粒子を均等に細かくすることで、飲み終わるまでの味わいの均一化をはかっているのです。

逆に生乳に近い風味を味わうために均質化処理をしない牛乳があります。均質化処理はホモジナイズ(homogenize、ホモゲナイズ)とも呼ばれており、均質化処理をしない牛乳はノンホモ牛乳など表記されています。

(答え) 分離しないようにする
均質化処理では、クリーム層が分離しないようにする。

【参考文献】
牛乳の製造工程にあるホモジナイズ(均質化)とは、どのようなことですか? 一般社団法人日本乳業協会
https://nyukyou.jp/dairyqa/2107_078_465/

バターやマーガリンはサスペンションであり、W/O型(油中水滴型)である?

食品は、高分子であるたんぱく質や多糖類を含み、ほとんどがコロイドと呼ばれる状態をとっています。
コロイドとは、分子より大きい直径1nm~数百nm程度の大きさのコロイド粒子が、空気中、水中、固体中で浮遊してる状態のことをいいます。コロイド粒子が液体中に分散した溶液をコロイド溶液といい、コロイド粒子を分散相溶媒を分散媒と呼びます。

コロイドの代表的な性質として、ブラウン運動半透性チンダル現象があります。

分散相と分散媒の種類によるコロイドの分類を下記の表に示します。

エマルションとは、互いに溶け合わない2種類の液体の、一方が微粒子となって他方の液体中に分散したコロイドのことをいいます。
水中油滴型(O/W型):水の中に油の微粒子が分散したもの(牛乳など)
油中水滴型(W/O型):油の中に水の分子が分散したもの(バターやマーガリンなど)
食品例は上記表をご参照ください。
エマルションは熱力学的にも非常に不安定であるため、この状態を維持することは非常に困難だと言われています。よってこの状態を維持するために乳化剤が用いられます。(界面活性剤)
乳化剤は両親媒性の物質で状態を安定化させることでどちらかの物性を維持しているのです。

サスペンションとは、液体を分散媒として、固体粒子が分散したものをいいます。

(答え) エマルション
バターやマーガリンはエマルションであり、W/O型(油中水滴型)である。

【参考文献】
美味しいマヨネーズやマーガリンはどのように作る?身の回りの食用乳化技術を知ろう 日本油化学会
http://www.jocs.jp/OSfair/pdf/oleo_B.pdf
化学 第二部 物質の状態と変化 技術情報館
http://sekigin.jp/science/chem/chem_03_7_4.html
東京アカデミー.2020年版 管理栄養士国家試験対策 完全合格教本 下巻.
七賢出版株式会社,2019,200~201p