卵に含まれる物質や化学的な性質

鶏卵に比べてうずら卵では、重量あたりのレチノール当量及びビタミンB1、B2含量が少ない?

卵は非常に栄養価が高く、物価の優等生と言われるほど、安価な食品です。
鶏卵とうずら卵の100gあたりのビタミンを比較してみましょう。

ビタミンB₁や葉酸もうずら卵は鶏卵の2倍程度含まれています。(100gあたり)

(答え) 多い
鶏卵に比べてうずら卵では、重量あたりのレチノール当量及びビタミンB1、B2含量が多い。

【参考文献】
ヒメウズラの卵の栄養成分(Nutritional components of King Quail eggs) 自然環境活用開発合同会社
https://www.jansdec.com/post/%E3%83%92%E3%83%A1%E3%82%A6%E3%82%BA%E3%83%A9%E3%81%AE%E5%8D%B5%E3%81%AE%E6%A0%84%E9%A4%8A%E6%88%90%E5%88%86%EF%BC%88nutritional-components-of-king-quail-eggs%EF%BC%89
うずら卵の栄養成分 うずら.com
https://uzura.com/nutrition/

卵白はpH12.0未満でゲル化する。ピータンはこの性質を利用した卵製品である?

皆さんはピータンという料理をご存じですか?
アヒルの卵に(鶏卵やウズラの卵も使われます)石灰や木炭などを混ぜた粘土を卵殻に塗り、もみ殻をまぶして土の中やカメの中に入れて長期間貯蔵することでできる中国の卵料理です。

つまり、周りのアルカリ性の物質が卵殻を通して内部に浸透し、卵白と卵黄をアルカリ変性させ、ゲル化させます。
卵白はアルカリで処理すると分子が凝集し、分子の凝集はアルカリの強度に従い、pH12付近でほぼ凝集しゲル化が生じています。凝集はアルカリ強度によって変化するため、pHは大きくなるほど凝集がみられ、一定ラインのpH12以上でゲル化を示します。

以下ピータンの特徴といえる色、透明さ、香りの原理について記します。

ピータンが黒く(茶褐色)なる原理
ピータンを生成するにあたり変色する原因はメイラード反応によるものである。
メイラード反応とは還元糖とアミノ化合物を加熱したときなどに見られる褐色物質(メラノイジン)を生み出す反応のことを指します。
身近なものだと肉を焼く際に生じる色の変化なども挙げられます。
この反応により卵白の成分が変化することで硫化水素が発生し、それが卵黄に含まれる鉄分と反応することで硫化鉄を生成します。それが卵黄から卵白に染み込むことで卵全体が黒(茶褐色)になっているのです。

ピータンが透明である原理
卵を固める際に瞬時に思いつく方法としては加熱が挙げられると思います。
しかしどのような加熱を加えても卵白は白色に変化し透明のまま卵を固めることは非常に難しく思えます。しかしピータンは透明であるにも関わらすしっかりと固まっています。
卵が加熱により白く固まる現象はたんぱく質の変性によるものです。
これと同様に石灰などに含まれるアルカリ成分によってたんぱく質が変性し、この変性方法は外部から浸透するようにじわじわと内部に伝わり、固形化することで生の状態が保たれつつ固形化するため、透明のまま固まっていくのです。

ピータンが特有の香りを放つ原理
卵が熟成する際にたんぱく質が変性すると共に加水分解が起きています。
卵中のタンパク質を加水分解することでペプチドに、ペプチドがアミノ酸へと分解され、さらにアミノ酸が分解されることで、アンモニアが発生します。さらにアンモニアだけでなく硫化水素も発生するためピータン独特の香りを示しています。

(答え) 未満→以上
卵白はpH12.0以上でゲル化する。ピータンはこの性質を利用した卵製品である

【参考文献】
アルカリによる卵白のゲル化について 張勝善・白川貞雄・吉野梅夫・山内邦男
https://www.jstage.jst.go.jp/article/chikusan1924/46/1/46_1_29/_pdf/
ピータンの白身が透明な理由!あの独特の外見になる原因とは? オリーブオイルをひとまわし
https://www.olive-hitomawashi.com/column/2018/09/post-1946.html

鉄含量は、卵黄より卵白のほうが高い?

根本的に卵黄と卵白で栄養価が高い方は…といわれますと、卵黄のほうが栄養価が高いとされています。その原因は卵黄には体内で確実に必要とされている必須タンパク質が全種類含まれているからです。また脂質や、ビタミン、鉄などのミネラル類も卵黄には多く含まれています。
卵黄には、カルシウム、鉄、リンが卵白よりも多く含まれています。
ただし卵黄中のホスビチンが鉄と強く結合するため、卵の鉄は利用率が低いです。
しかし卵白には全くこれらの栄養素が含まれていないというわけではありません。
卵白には卵黄には劣るものの栄養は含まれており、それらの一例として低脂肪なタンパク質や、糖質脂質の代謝を促すと言われるビタミンBなどが挙げられます。

ゆで卵をゆですぎると暗緑色になることがあります。これは、加熱により卵白中のジスルフィド結合(S-S結合)が還元されて生じた硫化水素(H₂S)が、卵黄中に含まれる鉄と結合して硫化第一鉄(FeS)を生成するためです。15分以上の加熱や、古い卵を用いた場合に生じやすいです。

(答え) ✖
鉄含量は、卵白より卵黄の方が高い。

【参考文献】
たまごの卵黄と卵白、栄養があるのはどちら? 株式会社 藤野屋
https://www.fujinoyaweb.co.jp/column/602