卵に含まれる物質や化学的な性質

産卵後の卵を放置すると、空気中の二酸化炭素を吸収してpHが低下し、比重が低下する?

産まれたての卵は卵白が白濁していて卵黄がこんもりと丸くなっています。
この白濁の原因こそが卵内に含まれる二酸化炭素です。産まれたての卵には約55mgほどの二酸化炭素が含まれており、時間の経過とともに殻の内外の二酸化炭素濃度差に従って外部へ拡散していくことから、普段私たちが手にした際には卵白に白濁はなく比較的透明な卵になっているのです。

卵は保存中に気孔を通して卵内の水分を蒸発しており、気室の容積が増加することで、卵の重量や比重が減少します。比重は、新鮮卵で1.08~1.09なのに対して、古くなると1.02程度まで下がります。
また、卵白は産卵後日数が経つにつれて、pHが上昇します。
新鮮な卵白のpHは7.6程度に対して、20℃で数日保存したものはpH9.0~9.4となります。

(答え) 放出、上昇
産卵後の卵を放置すると、空気中の二酸化炭素を放出してpHが低下し、比重が上昇する。

【参考文献】
たまごの知識 一般社団法人日本養鶏協会
https://www.jpa.or.jp/chishiki/qa/m_4/a1_4.html
たまごの構造 たまごの話 株式会社 玉新
https://www.tamasin.co.jp/egg/kouzo.html

ハウユニットは濃厚卵白の高さと卵の重量を用いて算出される?

卵の中身は大きく分けて卵白、卵黄に分けられ、更に卵白は弾力のある濃厚卵白、さらっとした水溶性卵白に分けられます。
生みたての卵のうち卵白の半分以上は濃厚卵白が占めており、新鮮な卵は非常に厚みがあり箸で抓めるほどの弾力感のある卵白を有しています。
ところが濃厚卵白は日がたつにつれ水溶性卵白へと変化してしまうため、鮮度が落ちるにつれ卵はさらっとした形状を有するようになるのです。

卵白は水分約88%、タンパク質約10.5%といわれており、この中での濃厚卵白と水溶性卵白の差はタンパク質の構造の差にあると言われています。
卵白のpHの上昇に伴って、濃厚卵白の主体である不溶性オボムチンのゲル構造が破壊され、水溶性の卵白たんぱく質が増加することから、卵白の粘度が低下します。
これを濃厚卵白の水溶化現象といいます。

このように濃厚卵白によって卵の鮮度を知ることが出来るわけですが、この原理を利用し、卵の鮮度をはかる基準とされているのがハウユニット(HU)というものです。
1937年にアメリカのハウによって考案された単位で濃厚卵白の高さ(H)、殻付卵の重量(W)によって求められ、アメリカ合衆国農務省の規格では、HU値が72以上がAA級(最高級品位)、60~72未満がA級(高級品位)、31~60未満がB級(中級品位)、31 未満がC級(低級品位)と格付けされており、我が国でもハウユニットを測定した場合、アメリカの基準に合わせて利用しています。

(答え) 〇

【参考文献】
たまごの知識 一般社団法人日本養鶏協会
https://www.jpa.or.jp/chishiki/qa/m_4/a1_4.html
鶏卵の知識とおいしさ 東京家政大学栄養学科 峯木 眞知子
https://www.jshe.jp/doc_top/column_20170805.pdf
HU値について~たまごの品質~ 株式会社タカノ
http://egg-takano.co.jp/tamago/kouza/a05.html

卵を80℃以上に保っておくと、卵黄は凝固し、卵白の部分は半流動性の卵となる?

卵には熱凝固性といった性質があり、卵に加えられる温度によって形状が異なり、卵白、卵黄によってもその形状は異なります。
以下卵白、卵黄に分けて温度ごとの形状を記します。
卵白…63℃:白濁し、やや流動性がなくなり、やわらかく凝固する。ゼリー状になる。
   80℃:しっかりと形を保ち凝固する。
卵黄…63℃:流動性を失う。
   70℃:粘りがある半熟。
   75℃:硬い半熟。
つまり問題文に記されているように、卵黄が凝固、卵白が半流動性を示すのは約63℃、おおきく範囲を有すると60~70℃であると言えます。

(答え) 60~70℃
卵を60~70℃以上に保っておくと、卵黄は凝固し、卵白の部分は半流動性の卵となる。

【参考文献】
第9回:卵について学びます(卵博士になる!) 愛知県共済
https://www.aichi-kyosai.or.jp/service/culture/internet/cook/cooking/cooking_20/9_25.html