脂質の栄養素としての役割

脂質の種類

中性脂質食品に含まれる脂質の大部分を占めています。1g当たり9kcalのエネルギーを生み出し高カロリーな成分となります。体脂肪として貯蔵され、内臓を保護したり、耐熱の発散などを防ぎます。

健康診断の結果表ではTGといった記号で表示されるため、自身の数値を見たことがある人もいるのではないでしょうか。これはトリグリセリドまたはトリアシルグリセロールの略となっています。トリグリセリドは、グリセリンと脂肪酸から構成されていて、脂肪酸が分解されて吸収されます。

コレステロール
ヒトの体には重要な成分であり、1日に1000~1500mgほどのコレステロールを必要とします。そのうち、7割程度を体内で生成し、残りを食事から摂取します。コレステロールは細胞膜の構成成分となったり、胆汁やホルモンの生成に必要な成分となっており、生体に重要な成分となっています。しかし、摂取量が多過ぎると、動脈硬化、心筋梗塞、狭心症や脳梗塞などの原因となるため、コレストロール量の調節が重要になります。

必要な摂取目安

成人で1日に必要なエネルギーの20~25%ほどを脂質からとるのがよいといわれています。これは1日2,000kcal必要な人では、脂質はおよそ50gにあたります。脂質を1日に50gとる場合、調理や食べる時に使う油脂は15gほどが適量の目安となります。これは、朝食のトースト用バターに薄く塗った場合の目安量である5gと、昼食または夕食での油料理1食分、例えば、天ぷらやフライなど1人前に含まれる油10gを合計した量となります。一般的な食生活を想像すると、かなり超えてしまいがちな栄養素だとも言えます。

もし、脂質を必要以上に摂取してしまった場合必要なエネルギーでの消費から余った脂質は中性脂肪として主に脂肪細胞に貯蔵されます。現在、食生活の欧米化により日本人の脂質摂取量は増え、むしろ栄養過多状態による肥満や脂質異常症メタボリックシンドローム動脈硬化などといった生活習慣病が問題となっています。

次のページ、また以下の動画では、脂肪酸の種類と必須脂肪酸について解説しています。