質問紙による機能性評価

 私共の研究グループでは質問紙(アンケート)で天然物の機能性を評価する事例が多数あります。約15年くらい前より、食品だけでなく香りや化粧品なども質問紙で評価を実施してきました。

 筆者は元々メタボリックシンドロームの研究者であったのですが、それから脳科学に興味を持ち、現在では質問紙が手放せない存在になっています。

質問紙の有用性

 脳科学と聞けば、その研究方法として脳波などを想定するかと思います。また、脳に良い食品と聞けば、頭が良くなる、といった発想になるかもしれません。実際は、心に効果があることが多いです。

 心に効果のある天然物を評価する際、脳波はもちろん有用ですが、その際に心理学的手法である質問紙が大活躍することも少なくありません。

 効果検証に際は、質問紙で有効性を検出できることが多く、何より解釈が明確であるので、質問紙が重宝します。

 例えば、脳波でα波が良いようなイメージがありますが、目を閉じる頻度が高いだけでα波は増えてしまいます。つまり、α波がアップする解釈としてリラックス効果を期待しますが、眠くなったり、疲れたり、目が乾いたりした可能性もあります。

 質問紙には、そのような解釈の曖昧さがなく、明確な効果を考察できることが多いです。

質問紙の種類

 心理学的な質問紙は、脳計測などに比べると圧倒的な歴史があり、その種類も多種多様です。その中でも、被験者さんに負担が少なく実施可能であり、さらに、食品の効果を検出できるのは一部です。

 筆者が最も昔から利用していて、効果の検出を得意とする質問紙の1つに特にPOMSがあります。Mood(気分)を数値化する方法で、 「緊張」「抑うつ」「怒り」「活気」「疲労」「混乱」の6つの 尺度 を評価できます。

 質問紙では、心理的な事柄の数値化に加えて、痛みなどの主観や便や肌など物質の状態を数値化することにも利用されています。

アレルギーの状態や風邪症状の数値化にも利用されています。

 質問紙で食品の効果を数値化する試みは、約15年前では偽科学のように否定されることもありました。現在は、機能性表示食品で多く利用されており、標準的な手法として認められています。

 上記の認知機能以外のすべてが、質問紙によって新しく表示の受理をされた機能性になります。特定保健用食品の頃に比べて新しく認められた機能性について、質問紙の役割は大きいです。

質問紙評価の実績

 恐らく100に近いヒト試験(臨床試験)を当研究グループで実施してきました。その中の約3~4割程度が質問紙の評価を中心としています。そのいくつかを紹介します。

ヒアルロン酸の膝痛改善効果

 質問紙評価の中で最も回数が多いのが、膝痛に関する試験で10回以上の臨書試験を経験しております。2006年から始まり、5つ以上の食品成分や医学部外品を評価してきました。

 その研究紹介を動画にもしました。VAS(Visual Analog Scale: 視覚的アナログ尺度)を具体的に説明しています。

睡眠の改善効果

 最近の最も代表的な事例が、機能性表示を取得した評価手法であるPSQIです。以下の研究論文を元にサフランは機能性表示食品として受理されました。

 以下のように、具体的な研究内容を動画にしています。別のページにてサフランに関する研究を詳細に紹介しています。

 以下の研究では、いびきの強度を騒音計で数値化したのですが、チャンピオンデータ(最もクリアなデータ)は、PSQIによる睡眠の質を改善することでした。

気分(不安や落ち込みなど)の改善効果

 サフランに関しては、眠気の改善効果以外にも、不安や気分の落ち込みを改善するという機能性表示が取得できています。これは、POMSの評価項目を素直に機能性表示することに成功しています。「困惑感を軽減」という食品を求める方々がいらっしゃるかどうかは別にして、質問紙が機能性表示に直結するという良い例です。

 POMSが食品の有効性を評価することは、今では一般的ですが、私共の研究チームでは、約10年前に先駆けて事例を発表していました。認知機能の改善効果で知られるヤマブシタケは、脳に対する良い影響があり、不安や落ち込みを改善する効果も見られました。

疲労感の改善効果

 プラセンタの効果を血液検査や肌質測定なども使って評価したのですが、疲労感の改善効果がチャンピオンデータとなりました。

その研究の詳細は動画でも紹介しています。

風邪症状の改善効果

 医薬品や医薬部外品は、薬局やドラッグストアで購入し、信頼性の高いと盲信してしまいますが、そのエビデンスは健康食品未満であることも多いです。医薬品で得られているエビデンス以上の効果を、のど飴で検出することができました。