果物およびキノコに含まれる食品成分

りんご果実の果心中心部が蜜入りになることがあるが、これはマルチトールが蓄積したものである?

りんごは水分以外の主成分は炭水化物で、その80%がフルクトース、グルコース、スクロースなどの糖類です。

りんごなどを食べる際に中心部分に「蜜」というものが存在するのを見たことはありませんか?黄金色の甘くておいしい部分なので美味しい果物の象徴として見分けられています。
このような現象を「みつ症状」といい、果実の成熟にともなって、果肉や果心部の一部が水浸状になる生理的な現象の結果「みつ」が生じます。

みつの生じる現象の原理をご紹介します。
みつ症状はりんごや梨などのバラ科植物でよく見られます。
バラ科植物は葉で光合成によりつくりだされた糖質が、酵素の働きによってソルビトールという糖とアルコールがくっついた物質(糖アルコール)に変化します。その後、果実に貯蔵され多くはショ糖へ変換・蓄積されます。 しかしこれらの糖を保存するにおいて量には限界があります。
よって果実の成熟が進むと細胞内に糖が飽和した状態になります。ソルビトールを糖に変換する酵素の働きは低下するため葉から送られるソルビトールはショ糖へ変換、蓄積されにくくなり、そのままの形で細胞内を水浸状に埋めていくため「みつ」として現れます。

つまり「みつ」が存在する果物は限界以上に甘さが蓄えられているということを指します。
やはり甘さの象徴としては間違ってなかったようですね!
日常的にミニ知識として披露しやすい内容なのでぜひ小耳にでも挟んでいただけると嬉しいです(笑)

(答え) ソルビトール
りんご果実の果心中央部が蜜入りになることがあるが、これはソルビトールが蓄積したものである。

【参考文献】
蜜入りりんごの蜜は何ですか。また、蜜は時間とともに消えてしまうと聞いたことがあるが本当ですか。 農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1612/02.html

日本なしの特有な食感は石細胞によるものであり、リグニンやペントザンが含まれる?

梨といえばみずみずしくシャリシャリの食感を持つことが一番の特徴ではないでしょうか。
梨の食感はほかの食べ物には例がないほど珍しい食感をしています。
このシャリシャリは梨に含まれる石細胞による影響があります。
石細胞はペントザンやリグニンという成分からなっており、もとは種子の周りに存在するのですが、成長し実が熟していくことで実全体にシャリシャリ食感が広がります。

シャリシャリ食感の原因となる石細胞は人間の胃腸では消化されません。よって胃などを刺激することで便通を良くするなど整腸作用がみられます。
つまり食物繊維のような働きをします。

(答え) 〇

【参考文献】
梨の栄養価と健康 梨と食育の健康コラム
https://funanashi.myfuna.net/nashidekenkou

渋柿の渋味は、不溶性のポリフェノール化合物による?

柿はビタミンA(β‐カロテン)、ビタミンCを多く含み、抗酸化作用が強い果物です。
柿の渋味は、豊富に含まれているポリフェノール(タンニン)に起因します。
渋柿や未熟な甘柿には、ポリフェノールが含まれており、口に含むと、舌や口腔粘膜のたんぱく質と結合して、強い渋味を呈します(渋柿のタンニンは成熟しても水溶性のまま)。成熟した甘柿、あるいは渋抜きをした渋柿(干し柿)では、これらのポリフェノールが不溶化されており、渋味を感じないのでおいしく食べることができます。

(答え) 水溶性
渋柿の渋味は、水溶性のポリフェノール化合物による。

【参考文献】
柿ポリフェノール機能性 J-STAGE
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/63/7/63_331/_pdf/-char/ja