研究論文を依頼される際の留意事項

 研究者の執筆する学術的な論文は、これまで関心を持たれるのは稀でした。そのため、費用をご負担頂くことは2015年頃まであり得ないことでした。産学連携での研究であっても、2000年前に実施した研究を2010年頃にやっと論文化したということもあります。

 機能性表示食品の制度が始まって以来、研究論文執筆を業務として受託することが多くなりました。機能性表示食品でなくても、景品表示法の対策と広報も兼ねて論文執筆を依頼されることも増えてきました。また、安全性試験を実施して、それを公表するために論文化を依頼される場合も何度かありました。加えて、主にアジア圏に進出する企業も多くなり、英語論文を依頼されることも増えました。企業のサイエンスに対する理解が飛躍的に向上しているように感じています。

 多くの場合、論文の内容や進め方を全面的にお任せ頂くことが多いのですが、 概ね完成した後に内容などの要望がある場合など、困ることがしばしばありました。研究論文をご依頼頂く際に、研究者には自明のことであっても、一般的には知られていないことをご紹介させて頂きたいと思います。

研究論文に関する一般論

ご理解頂きたいとことを以下、列挙させて頂きました。

1.論文は受理されない場合がある
2.筆頭著者の倫理観や解釈が優先される
3.著者には関係した方々のみ
4.英語と日本語で同じ(似た)内容では出せない
5.一度受理されると修正が極めて困難

誤解として頻度の多いと思われる順番に記載しました。

研究論文は著者の創作品

 個別の説明は省略させて頂きたいと思いが、最も困るのは「2」についての誤解です。

 メーカーの方がなるべく良い表現を求める気持ちは分かりますが、サイエンスとして妥当な結論として難しいことがあります。基本的には、著者(研究者)の倫理観や解釈が優先となり、指導者でもその介入が難しいです。

 また、機能性表示を目指した論文の場合、あまりに規定やフォーマットに沿い過ぎると、事務的な文章のように無味乾燥な論文になってしまいます。文学作品や文学賞のようにご理解頂けると分かりやすいかと思いました。

研究者だけ知っている(?)研究論文の常識

 一般の方々にはあまり知り得ない常識であると思いますが、研究者にとっては大問題であることが、著者の順番などです。また誤解の「3」に該当することでもありますが、実際に研究に関わった方々だけが著者になることができます。全く研究に関与していない経営者や重役の方が著者に入ることは倫理的に違反します。

 論文の著者に関することは明確な法律や規定がある訳ではなく「オーサーシップ」と呼ばれる倫理観や国際的なガイドラインがあります。つまり、基本的には、執筆している研究者の価値観や経験に委ねられます。

著者の順番は研究者の死活問題

 これは、もしかしたら雰囲気でも分かるかもしれませんが、著者の最後に責任者(教授など)の名前があることが多いです。ラストオーサー(last author)と呼ばれています。

 そうなると、一番目の者が立場が低いかというと、逆に、論文に最も貢献した人が書かれる場合が多いです。筆頭著者、ファーストオーサー(first author)と呼ばれています。

 研究員や教員として採用される際に2番目、3番目くらいまで考慮してもらえることが多く(それぞれ、セカンドオーサー、サードオーサーと呼ばれます)、この順番に神経質である研究者も少なくありません。こういったことから、大学との共同研究で企業の方の名前が入る際、最後を避けつつ、4番目以降になっていることが多いことと思います。

全責任を負う訳ではない責任著者

 コレスポンディングオーサー(corresponding author)、略して「コレスポ」と呼ばれることもあります。日本語論文の場合は、責任著者と書かれていますが、直訳すると『対応する連絡担当者』くらいになります。例えばノーベル賞の受賞者はコレスポであることが一般的で日本語の責任著者という言葉も納得です。

 これは、前述の著者の順番とは関係なく、複数名が責任著者になることも可能です。一般的には、ファーストオーサーもしくはラストオーサーの方が責任著者になることが多いです。研究論文に関する責任は著者全員が負うものであり、一人に責任を負わせる、一人だけの手柄になるという訳ではありません。

著作権は出版元になることが多い

 多くの研究論文の投稿規定に、著作権の帰属は出版元に帰属することが明記されています。例外もありますが、臨床試験に関するような医学、生命科学などの分野については、ほぼ100%該当します。執筆費用をご負担頂いた企業には理不尽かもしれませんが、その研究成果が人類の財産となり、歴史に刻まれるとご理解頂ければ幸いです。

産学連携での論文の活用

研究論文依頼の多くが機能性表示食品の届出に必要になるからですが、上手く活用されている企業もあります。

研究論文には大学名が書ける!

学術論文を知っている方々には当たり前と思いがちですが、意外と盲点な事実だと気付きました。 国公立大学は 特に 保守的な場合が多く、研究成果と大学名を結び付けることを極端に嫌う場合があります。研究論文には、堂々と大学名(所属)を記載することができて、都度大学に許可をもらうことも不要です。企業の方との共同発表にする形も問題なく可能であることが多く、一般的に困難なことが、論文で解決することもあるように思いました。

論文にすると特許が出せない?

結論からお伝えしますと、研究論文を投稿しても、特許を出すことができます。 詳細は特許庁のホームページなどが参考になるかと思います。

特許庁の情報にあります通り、論文を投稿することは公知の事実になってしまいますので新規性や進歩性を喪失することになってしまいます。1年間の猶予がありますが、特許戦略も考えて論文投稿をしたことが良いことは、確かです。

論文執筆の受託:費用や納期など

 論文を依頼される際には、 上記のような状況を踏まえ、ご要望を事前にお伝え頂けると誤解のない意図される通りの論文に近付くのではと思いました。事務的にご留意頂く点を以下、列挙させて頂きました。

・費用は一律、日本語論文50万円、英語論文100万円
・納期は 日本語論文4ヶ月、英語論文6ヶ月 (完了次第納品します)
・業務の範囲は論文執筆まで、確認頂いた後に無償で論文投稿と審査対応
(投稿しないという選択肢もあります)
・原則事前請求もしくは論文完成時までに精算
・訂正は表現に関する部分を原則1回のみ
(複数回の修正や、原則、グラフや結論の訂正はお断りします)
・掲載料が別途必要(5~30万円が相場です)

 論文執筆の依頼が多くなることに対応できるよう、当研究チームでは、教員レベル(教授や准教授経験者含む)の研究者を多く抱えております。自社試験、他社の試験についても論文化可能であり、それらの論文化に関するご相談も歓迎です。