SPIRIT2013:研究計画の重要事項

 臨床試験を実施する際のプロトコール(研究計画)作成の際に記載すべき最低限がSRIRIT2013です。このページでは、 SRIRIT2013の詳細について解説します。

SPIRIT2013とは?

 SPIRITとは “Standard Protocol Items: Recommendations for Interventional Trials” の略で、日本語に訳すと“標準的なプロトコール項目:介入試験のための推奨”となります。

 SPIRIT 2013は、2013年に公表されたプロトコール作成時の基準となるガイドラインで、33項目からなるチェックリストで構成され、プロトコールの内容に特に焦点を当てて作成されています。

 ランダム化比較試験を主な適応範囲としていますが、必要に応じて追記を行うことで(例えば、クロスオーバー試験時の持ち越し効果の統計学的検討など)、ほとんどの臨床試験に適用できます。SPIRIT 2013は、あくまで何が計画されているのかを十分に説明するためのチェックリストですので、その計画された臨床試験の質についての評価はできません。

SPIRIT2013の具体的な内容

 また、SPIRIT 2013は、チェックリストでありフォーマットではありませんので、作成するプロトコールはそのリストのままでは不十分です。箇条書きのままではなく、チェックリストの内容を網羅した、詳細に記述されていることが必要です。

 SPIRITでは、プロトコールを以下のように定義しています。

試験の背景・論拠・目的・研究対象・介入・方法・統計学的解析・倫理事項・普及計画・管理に関しての理解、試験方法と実施の重要な点の再現、および倫理承認から結果の普及に至るまで試験の科学的・倫理的厳密性の評価を可能にする、十分詳細に書かれた文章である

Chan et al. 2013a

 そのため、適切な説明の文章に加え、再現性を高めるために図などの資料を適宜用います。記載されたプロトコールに従えば、同様に臨床試験が実施できる内容でなければなりません。また未定の項目については、その旨をプロトコールに記載し、進展があった場合は更新します。その際は、必ず日付と変更点を記録し、後に追跡や監査ができるようにします。

  SPIPIT 2013声明は、国際的な指針に基づいています。特に、試験内容の報告に関するガイドラインであるCONSORT 2008(Consolidated Standards of Reporting Trials) とは、共通する項目が多々あり、また用語も一貫しているため、計画から最終報告までの移行が容易です。

SPIRIT2013の詳細

 最後に、SPIRIT 2013の33項目のチェックリストについてみていきましょう。

 項目1から5は、タイトルや試験登録番号、プロトコールのバージョンや資金提供源や試験実施者等の臨床試験を実施するにあたっての基本的な情報についての記載に関する項目です。

 項目6から8はイントロダクションにあたり、背景と論拠、および試験デザインについての記述が続きます。項目9から23は、方法についての記述に関し、詳細なチェックリストとなっています。 試験デザインによっては、これらの項目に網羅された内容で試験内容の説明が不足する場合もあるので、追記が必要です。

 項目24から31は、倫理と普及についてのチェックリストです。最後の項目32と33は、附記としてインフォームドコンセントに関する資料と生物学的試料に関しての記述になります。どのような事柄を記載すべきか、チェックリストに簡潔に記載されています。

参考文献

Chan et al. SPIRIT 2013 Statement: Defining standard protocol items for clinical trials. Ann Intern Med. 2013a. 158(3): 200-207.

Chan et al. SPIRIT 2013 explanation and elaboration: guidance for protocols of clinical trials. BMJ. 2013b. 346: e7586.

折笠秀樹、津谷喜一郎、上岡洋晴. SPIRIT 2013 声明:臨床試験のための標準的なプロトコール項目の規定. Jpn Pharmacol Ther. 2017. 45(12): 1895-1904.