タンパク質の立体構造と受容体

私たちが物を識別するには、視覚の情報や匂いなどを駆使して判断しています。1つの細胞が外界を認識するには、主にタンパク質が使われています。タンパク質の複雑な立体構造が物質の識別を可能にしており、その立体構造は酵素や免疫など生命活動全般に関与しています。

タンパク質の高次構造

タンパク質は、複雑な形を形成することによって、物質の識別や化学反応、異物の排除などに関わっています。その構造は、一次構造から四次構造まで階層的に分類されています。

タンパク質の一次構造

タンパク質のアミノ酸配列を一次構造と呼びます。

タンパク質は20種類のアミノ酸が複数結合することにより構成されています。 2つ以上のアミノ酸が結合するとペプチドと呼ばれ、一般的に50以上のアミノ酸が結合するとタンパク質と呼ばれます。

わずか2つのアミノ酸が結合するだけでも、20×20=400種のペプチドが生まれることになり、タンパク質の種類が非常に多くのパターンになることが分かるかと思います。

タンパク質の二次構造

タンパク質の一部が水素結合により部分的に折り畳まれている構造を、タンパク質の二次構造と呼びます。具体的にはα-ヘリックス(α構造)とβ-シート(β構造)です。

α-ヘリックス:螺旋階段のように螺旋状(回転しながら垂直方向に延長)に形成されている構造です

β-シート:アミノ酸の配列が交互に行き交うことにより、平面的な広がりを持つ構造です。

上記の構造は、1つのαヘリックス(らせん状の部分)と1組のβシート(矢印)がある単純な構造を示しています。1つのタンパク質には、多くのαヘリックスやβシート構造を有していることがあります。

タンパク質の三次構造

αヘリックスやβシートを含めて、最終的にタンパク質が完成するための構造です。具体的には、疎水結合(疎水的相互作用)ジスルフィド結合などがあります。

疎水結合(疎水的相互作用):分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)の側鎖などは炭化水素であり、水を避けてタンパク質の内側に配置されやすくなります。そういった疎水的な部分が重なっていく構造です。

ジスルフィド結合:システインの側鎖である硫黄(スルフィド)が2つ(ジ)結合することで形成される、強い構造です。

タンパク質の四次構造

単体のタンパク質では十分な機能をせず、複数のタンパク質が結合することで機能するタンパク質の複合体を四次構造と呼びます。

最も良く知られているタンパク質の四次構造は、ヘモグロビンです。2種類のタンパク質が各2つずつ、つまり4つのタンパク質が1つのタンパク質複合体を形成することで、酸素運搬の機能を果たします。

後述する免疫グロブリンも、同様に2種類のタンパク質が各2つずつ四量体構造をしています。

タンパク質による物質の認識

タンパク質は、複雑な立体構造により、物質の認識を可能にしています。ごくわずかな形の違いも識別できる能力は「特異性」と呼ばれています。

免疫

免疫には、自然免疫と獲得免疫があります。獲得免疫には、特定の物質をタンパク質が認識する仕組みが関わっています。僅かな違いでも認識が可能なので、鍵と鍵穴の関係に喩えられることが多いです。

前述の免疫グロブリンは、一度体内に侵入した抗原(細菌やウイルスなど)を特異的に認識するタンパク質です。抗原の認識には、L鎖(Light-chain、軽鎖)とH鎖 (Heavy-chain、重鎖)の2つのタンパク質により、複雑な形を正確に認識することができます。

受容体

一般的には、細胞の表面にあって、外部にある物質を識別するタンパク質です。細胞内や細胞核の中にも受容体は存在しています。

例えば、血液に放出されたホルモンは、特定の細胞に届いて受容体に認識され、そのホルモンの効果を発揮します。味や匂いも受容体が識別しています。

化学反応を触媒するタンパク質を、酵素と呼びます。触媒とは、自らが変化することなく、化学反応を促進する物質です。つまり、酵素は化学反応を促進させるタンパク質です。

酵素

酵素タンパク質も、物質を認識します。酵素が認識する(触媒する)物質を基質と呼びます。酵素タンパク質の中で、基質を認識する部位を、活性部位と呼びます。この活性部位にも、前述の特異性があり、特定の物質、特定の反応だけを触媒します。

このように、酵素は受容体と同様、物質を識別しています。

参考資料

講義動画:https://youtu.be/-OYesraS8Ck