タンパク質による物質の認識
タンパク質は、複雑な立体構造により、物質の認識を可能にしています。ごくわずかな形の違いも識別できる能力は「特異性」と呼ばれています。
免疫
免疫には、自然免疫と獲得免疫があります。獲得免疫には、特定の物質をタンパク質が認識する仕組みが関わっています。僅かな違いでも認識が可能なので、鍵と鍵穴の関係に喩えられることが多いです。
前述の免疫グロブリンは、一度体内に侵入した抗原(細菌やウイルスなど)を特異的に認識するタンパク質です。抗原の認識には、L鎖(Light-chain、軽鎖)とH鎖 (Heavy-chain、重鎖)の2つのタンパク質により、複雑な形を正確に認識することができます。
受容体
一般的には、細胞の表面にあって、外部にある物質を識別するタンパク質です。細胞内や細胞核の中にも受容体は存在しています。
例えば、血液に放出されたホルモンは、特定の細胞に届いて受容体に認識され、そのホルモンの効果を発揮します。味や匂いも受容体が識別しています。
化学反応を触媒するタンパク質を、酵素と呼びます。触媒とは、自らが変化することなく、化学反応を促進する物質です。つまり、酵素は化学反応を促進させるタンパク質です。
酵素
酵素タンパク質も、物質を認識します。酵素が認識する(触媒する)物質を基質と呼びます。酵素タンパク質の中で、基質を認識する部位を、活性部位と呼びます。この活性部位にも、前述の特異性があり、特定の物質、特定の反応だけを触媒します。
このように、酵素は受容体と同様、物質を識別しています。