目次
別紙様式V-4の作成
別紙様式V-4の記述例は消費者庁から以下のPDFをダウンロードできます。
・「PRISMA声明チェックリスト:機能性表示食品のための拡張版」に基づく適正な研究レビューの記述例
・「機能性表示の届出に関するマニュアル」(特に別紙4)
また、以下も参考に作成します。
・「機能性食品に関する研究レビューの評価及び研究レビュー作成上の留意点」
一般社団法人 健康食品産業協議会
・「診療ガイドライン作成マニュアル2020ー第4章システマティックレビュー」
・「診療ガイドライン作成マニュアル2017ー第4章システマティックレビュー」
・「PRISMA 2020声明:システマティックレビュー報告のための更新版ガイドライン解説と日本語訳」
上岡洋晴 他.薬理と治療.49(6);831-842(2021)
・別紙様式V-4は上記のPRISMA声明チェックリストを確認し、必要に応じて項目を足して下さい。
・全体的にフォントを揃えます。数字に関しては、半角か全角どちらかに揃えます。
・誤字脱字のチェックを必ずします。時間をおいて見直したり、読み上げ機能を用いて
確認します。チームで作成する場合は、メンバーに校正をお願いするのも良いです。
#1 タイトル
①標題:
「最終製品〇〇に含有する機能性関与成分△△による**の機能性に関するシステマティックレビュー」
※更新版:標題の最後に〔更新版〕と記載する必要があります。
メタアナリシスを含む場合は、「・・・に関するメタアナリシスを含むシステマティックレビュー」と記述します。
②商品名:〇〇
(空欄とし、後から記載できるようにしておきます。)
③機能性関与成分名:△△
④表示しようとする機能性:
・PICOの検証結果に基づき、過大解釈をせずに適切に記述し、性・年代(場合によっては部位
も)を十分に考慮する必要があります。
・この部分は、商品のパッケージに印刷されるため、長くなりすぎないように簡潔に記述し
ます。(長くとも4行以内に収まるようにします。)
例)「本品には△△が含まれています。△△には**という機能性が報告されています。」
・PをBMIが高めの健康な人とした場合は
「△△には、BMIが高めの方の体脂肪を減らす機能がある」
・Pを健康な中高年とした場合は
「△△には、加齢により低下する認知機能の向上に役立つ機能性がある」
・上記のように、対象者が誰であるか(性・年代)を明確にして記述します。
⑤作成日:xx年yy月zz日
⑥届出者名:クライアント様社名
#2 構造化抄録
・PRISMA声明抄録チェックリスト(2020年)参照(別紙5-2)
・本文の内容を構造化抄録において、簡潔に記述します。
・レビューの要約を①目的 ②方法 ③結果 ④結論 に分けて記述します。
・800文字以内で記載します。
①目的
背景を簡単に、PICOを反映した明確なレビューの目的を記述します。
更新版:前回の届出番号を記載する。
②方法
・どんな方法で検索したのか、どんな基準に基づいて、どう評価したのかを記述します。
・データ源(検索データベース)、研究の適格基準(PICOなど)、研究の質評価方法
(バイアス・リスク、非直接性、非一貫性、不精確など)、統合方法(メタアナリシス)
などを記述します。
③結果
・検索、スクリーニング結果、質評価結果、採用した研究結果のまとめを記述します。
④結論
・結果から得られた重要な知見の意味合いを記述します。また、限界についても記述します。
【限界とは】
・一次研究の弱点:
採用した文献の研究デザイン、サンプルサイズ、データ収集方法、統計的分析、
バイアスリスク、結果の信頼性などについて。
例)採用した一次研究の多くはサンプルサイズが小さく、結果の一般性に関して制限がある
・レビュー自体の弱点:
文献検索の制約、文献選択の基準、データの解釈の主観などについて。
例)文献検索に使用したデータベースが限られており、一部の関連研究が見落とされた
可能性がある
#3 論拠
・機能性関与成分や表示しようとする機能性に関する背景(最終製品の食経験、検証されている
作用機序、人を対象とした研究動向及びリサーチクエスチョン)を主要な参考文献(場合によ
っては統計資料も)を用いて記述します。
・既存の届出を確認し、表示しようとする機能性に関する背景を確認します。また、参考文献も
確認し、記述していきます。(既存のものを参考にすることは良いですが、コピーにならない
ように注意します。)
・機能性に関連する話は、健常者対象の話で進めます。
治療、予防などを直接連想させるものはNGです。
#4 目的
・PICOを明確にしたリサーチクエスチョンとして、目的を記載します。
例)BMIを下げる(体脂肪を減らす)ことを目的とした場合
〈リサーチクエスチョン〉
BMIが高めの健常成人男女において、△△の経口摂取は体脂肪低下作用を有するか?
#5 プロトコールと登録
・事前に研究レビューのプロトコールを作成してから実施した場合、プロトコールの決定日を
記載します。プロトコールの決定日を記載することで、研究レビューの信頼性を高められます。
・UMIN等の事前登録を行い、登録した際はweb address等を記載して、アクセスできるよう
にすることが望ましいです。
・プロトコールの登録を実施しなかった場合には、その旨を記載します。
#6 適格基準
・研究の特性と、報告の特性について記述します。
【研究の特性】
・定性的レビューへの適格基準をPICOSの箇条書き形式で記載します。
S(study design)は、研究デザインのことです。
・介入には、介入期間を記載することが望ましいです。(認知機能を評価する際は原則として
12週間以上の摂取が必要など定めれていつ場合があります。)
・介入期間を限定する際にはその理由を記載し、介入期間を定めずに網羅的に実施した場合に
はその旨を記載するようにします。
例)
P(参加者) | 健常な成人男女(BMI30未満) |
I (介入) | ガレート型カテキンの経口摂取(8週間) |
C(比較) | ガレート型カテキンを含まない、またはほとんど含んでいないプラセボの経口摂取 |
O(アウトカム) | 体脂肪(総脂肪面積、内臓脂肪面積) |
S(研究デザイン) | RCT、ランダム化クロスオーバー試験、準ランダム化比較試験、非ランダム化比較試験 |
【報告の特性】
・検索対象とした言語、発表形態について記載します。
・言語(無制限、英語と日本語等)
・発表状態(査読付き論文、原著論文、学会会議録は省く等)
例)
言語 | 英語(PubMed)、日本語(医中誌) |
考慮した年数 | PubMed:1950~2023 医中誌:1997~2023 |
発表状態 | 公表 |
#7 情報源
・論文検索に用いたデータベース名、臨床試験登録検索の検索に使用したデータベース名、各
データベースでの最後の検索日を記載します。(V-5と統一)
・ハンドサーチや論文著者への連絡等を行った場合は、その内容を記載します。
#8 検索
・各データベースで文献検索を行った際の検索式を記載します。
(当サイト、研究レビュー作成の流れの4.に文献検索について記載してあります。)
・別紙様式V-5 と対応しています。
例)
【英語文献】データベース:PubMed

#9 研究の選択
・論文検索でヒットしたものからスクリーニングで研究を選択するプロセスについて記載します。
・適格基準に基づいて実施した旨を記載します。
・レビューワー2人が、独立して実施した旨を記述します。
例)
・PubMedの検索ワードは、成分名と材料名で抽出された文献を、健康な被験体と
体脂肪低減に関する機能性で絞りこみ、抽出した。
・PubMedと医中誌の検索結果を合わせ、タイトルアブストラクトを参考に1次スクリーニング
を行った。次に、本文を入手し2次スクリーニングとして、PICOに合致しないものや査読
のないものを除外し、採用文献とした。
・著者への問い合わせは行わなかった。
#10 データ収集のプロセス
・適格基準に合致した論文からのデータ抽出をどのように行ったかを記載します。
・レビューワー2人が、独立して実施した旨を記述します。
例)データの収集は、AとBが独立して実施し、不一致がある場合には協議して決定した。
さらに疑義がある場合には、Cに判断を委ねた。
#11 データ項目
・個々の研究から抽出したデータ項目を別紙様式V-7に示した旨を記載します。
#12 個別研究のバイアス・リスク
・個別研究のバイアスリスクについて評価項目、基準、方法を記載します。
・別紙様式V-11aに記載のある6項目について、個別研究ごとに評価を行います。
・各項目の評価は、バイアスが高い場合には〈ー2〉、中程度疑いがある場合には〈ー1〉、
低い場合には〈0〉とします。
・レビューワー2人が、独立して実施した旨を記述します。
①選択バイアス(ランダム割付け、割り付けの隠蔵)
・試験参加者の割り付けがランダム化されているか。また、どのようにランダム化したか
方法が記述されているかを評価します。
・プロジェクト担当者や、実験者側にどの被験者が対照群か、比較群かなどをきちんと
盲検化しているかを評価します。
・論文中の【試験参加者】や【割り付け】の項目中に、どのように被験者の割付を行ったか
記述されています。
例)割付は〇〇を用い、介入実施者の試験コントロールにより行われた など
②盲検性バイアス(参加者への盲検化、アウトカム評価者への盲検化)
・試験参加者やアウトカム評価者に情報が提供されていないか、盲検化を実施しているか
を評価します。
・参加者には隠されていても、明らかにプラセボと試験品が味が違う、見た目が違う等
で感づいてしまう場合等は、「ー1」等になります。
・①と同様に、論文中に記述されています。
例)試験参加者や試験責任医師、アウトカム評価者、その他の試験に関する従事者には
どのように割付けられたのかは知らされず、割付け業務に関与しなかった。 など
③症例減少バイアス(ITT / FSA / PPS、不完全アウトカムデータ)
・研究の解析方法の種類で評価を行います。
・不完全アウトカムデータとは、研究の進行中にデータが収集できない、遺失、
または不正確なデータが含まれる場合のことを指し、それらについて評価します。
・実験脱落者が多すぎると「ー1」となります。
1)ITT解析:途中で実験を脱落した人を含めて、全員解析。
2)FAS解析:ITTの原則に可能な限り近づけた被験者集団。
除くべき理由のある最低限の被験者を除外した解析。
3)PPS解析:プロトコール通りに実施された症例のみを解析。
服薬が遵守されていて、重大なプロトコール違反もなく、
データも利用可能な被験者のみを解析。
解析方法(ITT / FAS / PPS)についての詳しい説明は下記のサイトをご覧ください。
ITTの原則とは?FASやPPSとの違いを含めてわかりやすく解説!|いちばんやさしい、医療統計 (best-biostatistics.com)
・大規模試験のサブ解析(PPS解析)の場合、①タイトルに明記してある、②アブストラクト
に明記してある、③方法のところに明記してあることが多いです。
・~study、the study population consisted of a subsample from~、のような表記のものは
ほとんどが大規模試験のサブ解析です。
④選択的アウトカム報告
・測定された複数のアウトカムの内一部しか報告されていない場合、効果の大きい都合の
いい結果だけが報告されるという報告バイアスを生じる場合があるため、アウトカムが
すべて報告されているかどうかを評価します。
⑤その他のバイアス
・出版バイアス(未報告研究など)や利益相反について評価します。
⑥非直接性
・採用文献が本研究レビューのPICOSと合致しているかどうかを表す指標のことです。
・【対象・介入・対照・アウトカム】についてそれぞれ評価します。
例)PICOSとの関係性が直接的ではない場合〈ー2〉
情報が不足しており判断できない場合〈ー1〉、直接的である場合〈0〉とする など
下記はV-13aに記載があり、項目22で記述します。
◎不精確
・当該研究における例数が少ない、またはアウトカムであるイベント数が少ないために、
結論の精度を示す95%信頼区間の幅が大きくなっていることを示します。
例)各アウトカムについて、例数が100以上の場合には「精確:(0)」、41以上99以下の
場合には「やや不精確:(ー1)」、40以下の場合には「不精確:(-2)」と設定する。
など
◎非一貫性
・各研究間における結果のばらつきを示す指標です。
・本来はメタアナリシスにおいて効果推定値に基づき、異質性の検定やI²値で求めるものです。
・メタアナリシス未実施の場合は、定性的研究レビューの非一貫性の評価として、各文献に
おいて有意な効果があった(Positive(P))、もしくは、有意な効果がなかった
(Negative(N))の2値として各アウトカムを取り扱います。
例1)PまたはNの一致度を百分率で算出し、一致度について、明確な基準を設定します。
・50.0~59.9%の場合:「非一貫性が高い」(ー2)
・60.0~79.9%の場合:「非一貫性が中等度」(ー1)
・80.0~100%の場合:「非一貫性が低い」(0)
例2)採用文献が1報の場合
・各研究間で結果に齟齬がないかどかを評価する項目であるが、1報のみでは実施できない
ため、「1報のみなので「低(0)」とする」または、「1報のみなので評価なしとする
(非該当)」