茶葉のポリフェノール分析(フォリンチオカルト法)

ポリフェノールはフェノール基を複数持つ構造を有する化合物を示す言葉であり、各種の生理活性を示す物質として近年注目されている。日本人には、緑茶に含まれるカテキンなどが馴染み深い。光合成によって酸素を作り出す植物の体内では、酸素による酸化を防止しているものと考えられており、我々ヒトはその抗酸化機能を健康維持に役立てることができる。

カテキンの化学構造

本実験では、ポリフェノールの比色定量法であるフォリンチオカルト法を用いて食品中のポリフェノールを分析し、その実験法を習得する。比色定量法の原理としては、濃度が高いものほど強く発色する反応を用いて、物質の濃度を測定する方法である。検量線から溶液の濃度を求め、希釈倍率から食品中に含まれるポリフェノール濃度を定量する一連の計算方法も習得する。測定法が異なる場合でも、食品試料や生体試料に含まれる物質を定量する課程は共通点が多く、その基本的な流れを学ぶ。

※私共の研究チームによるプロジェクトがクラウドファンディングに掲載されています。私共の研究や木の良さを知って頂くために、是非ご覧頂ければ幸いです。

茶葉からの成分抽出

一般的な研究の場合、熱水抽出はオートクレーブを利用、撹拌機を利用した長時間の抽出を行うが、簡易的な抽出を実施する。

実験器具

・三角フラスコ(100ml×2)

・メスフラスコ(水抽出用250ml、エタノール抽出100ml)

・漏斗

実験手順

・試料を粉砕する

・約300㎎を三角フラスコに入れる(秤量して記録)

・水抽出は、電子レンジで吹きこぼれないように加熱して撹拌する

・エタノール抽出は、常温にて三角フラスコを振って撹拌する

・漏斗にペーパーフィルターをセットして、ろ過する

・水抽出は250ml、エタノール抽出は100mlに定容する

・一部を容器に移して保管する(ラベルは茶葉の重量も記載)

説明動画

フォリンチオカルト法によるポリフェノールの分析

茶葉から抽出した溶液をフェノールによる青色の発色の度合いにより濃度を測定します。

試薬

・エタノール溶液

・ポリフェノール標準溶液

・フェノール試薬

・10%炭酸ナトリウム溶液

フェノールによるポリフェノールの発色と吸光度測定

・水4mlを試験管に採取する

・試料溶液もしくはポリフェノール標準液を0.25ml加えて撹拌する

・フェノール試薬を0.25ml加えて撹拌する

・10%炭酸ナトリウム溶液を0.5ml加えて撹拌する

・10分間以上放置する

・分光光度計で760nmの吸光度を測定する

ポリフェノールの定量とまとめ

検量線より試験管1本あたりのポリフェノール「量」(濃度ではなくμg数)を求め、それを元に、茶葉100gあたりのポリフェノール量を求める。

EXCELを使った検量線の作成

・濃度と吸光度のデータを以下の左記のように入力する。

・データ部分のみを選択し、「挿入」から「グラフ」を選択し、プロットのみの散布図を選択する。
(タイトル、ラベル、目盛、凡例などの詳細な設定は自分で行って下さい。)

・グラフ中にプロットされた点を右クリックし、「近似曲線の追加」で直線式を選択し、「オプション」で「グラフに数式を表示する」と「グラフにR-2乗値を表示する」にチェックを入れる。

茶葉ポリフェノール濃度の計算

以下の計算式でポリフェノール量を求める。

ポリフェノール(mg/100g)=  A × VT ÷ V × 1/1000 × 100/S

                 A:検量線から求めたポリフェノール量(μg/試験管)

                 VT:希釈した試料溶液の全量(mL)

                VS:希釈した試料を採取した量(mL)

              1/1000:μgをmgに変換するためのもの

                 S:採取した(実験で使った)試料の量(g)        

     100/S:試料100g当たりのポリフェノール量を求めるためのもの

結果と考察のポイント

試料の希釈、反応、吸光度測定までの過程で、原理を理解しながらすべての数値を正確に記録する。それらの数値と検量線より、ポリフェノール値を算出する。茶葉のポリフェノール量は一般的に5~15g程度であり、結果が著しく異なる場合(1g未満など)は、理解や計算過程に誤りがなかったかを確認する。

フォリンチオカルト法は総ポリフェノールを大まかに求める方法であるが、現在はHPCL(高速液体クロマトグラフィー)やLC-MS等が主流である。機能性表示食品の届け出には、それらでの分析が必要となる。今回の結果は、抽出方法や分析手法も含めて概算であったことを考察する。前述の機能性表示食品には多くのポリフェノールが受理されている。それぞれのポリフェノールが生体に与える機能(有効性)について理解を深める機会となれば幸いである。