呈味成分の官能評価(味覚検査・2点嗜好法・順位法)

味覚(化学感覚)は、単細胞生物から高等動物に至るまで存在しており、栄養となる物質を摂取し、生体に危険な物質を排除するために必要不可欠な感覚である。甘味はエネルギー元となる糖質、うま味は生体を構成するアミノ酸や核酸、塩味は電解質の調整や神経伝達に必要なナトリウムを摂取するために必要である。また、酸味は腐敗物、苦味は毒物を避けるために必要な感覚とされている。これらの5つの味は5基本味と言われているが、感覚神経で感じる辛味やえぐ味、油脂も味として認識されているなど、基本味以外の化学感覚も存在する(味を感じる仕組みのページを参照)。

図:味細胞の表面に存在する生体センサー(受容体・チャネルタンパク質)

本実験では、ヒト(自分たち)の主観的な評価で、味物質の違いや濃度を判別できるかを検討する。また、味の感じ方には個人差があることを確認する。これらの実験を通して、化学物質を識別する味覚の概念を理解しその評価方法を習得する。

実験準備

事前にティーチングアシスタント等が試験用の溶液を作成する。二重盲検法(ダブルブラインド)になるよう、進行役の者には正解を知らせないようにして、アルファベットなどのラベルを容器に貼っておく。

二重盲検法が正しく行われるよう、会話の禁止やアイコンタクトさえも避けるように十分に周知をしておく。また、溶液を共有することによる感染を防ぐため、溶液の採取やテストの際は接触に十分注意をするよう促す。

以下の溶液を調整する(正答数に応じて増減させています)。
・ブドウ糖溶液:0.2%、1%、5%、10%
・リンゴ酸溶液:0.05%
・カフェイン溶液:0.001%
・食塩水:0.01%
・グルタミン酸ナトリウム溶液:0.02%

その他、以下の試験(2点嗜好法)で利用をする飲用水を2種類(例:市販の天然水と水道水)準備する。

2点嗜好法

2つのサンプルについて、どちらが好ましいかを判断する方法。以下の要領で実施をする。

・進行役はモニターが分からないように2つの飲用水をコップに少量提示する

・モニターは、どちらが好ましいかを他の人が分からないように記録する

・モニター全員の記録が完了したことを進行役が確認し、全員の結果を開示する

味覚検査(味覚テスト)

本来の味覚検査とは実施方法が異なるが、正解率を高めて簡便に実施するための方法として以下の方法で実施する。

・ラベルの付いた各溶液をスポイトで採取し口の中に入れる

・5つの溶液に対して、どの味(甘味、うま味、塩味、酸味、苦味)であるかを記入する

・モニター全員の記録が完了したことを進行役が確認し、全員の結果と正解を開示する

順位法

本来の順位法とは趣旨が異なるが、主観的な評価の参考として、以下の方法で官能評価を実施する。

・ラベルの付いた各溶液をスポイトで採取し口の中に入れる

・4つの溶液に対して、濃度の高い順番に並べる

・モニター全員の記録が完了したことを進行役が確認し、全員の結果と正解を開示する

結果の解析や考察

個人の正解や不正解にとらわれず、全体の平均値や正答数の偏りより解釈する。順位法や味覚検査について正確な統計解析をすることは困難であるが、順位法については、Excelでも本格的な統計解析が可能である。

以下の関数で危険率(p値)が求められる。

=1-BINOM.DIST(正答数,全体の人数,0.5,1)

例えば、全体の人数が20名で、水道水よりも天然水が好きと答えた人数が13名であった場合、
=1-BINOM.DIST(13,20,0.5,1)
という数式になる。

この場合、上記の数式の結果は0.05以上になり、統計的には天然水が好かれているということにはならない(20名中14名以上になると統計的に有意な差)。水道水が好きな人(7名)よりも2倍近く天然水の方が好まれているという結果であるが、統計解析には厳密さが求められている。危険率(p値)の解釈はこちらのページも参照のこと。

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