心拍変動解析・脳波・パッチクランプ法

パッチクランプ法

パッチクランプ法とは、生きている 1つ の細胞、さらにチャネルタンパク質の分子1つに流れる電流をリアルタイムで計測する方法です。ドイツの研究者エルヴィン・ネーアー(Erwin Neher)とベルト・ザクマン (Bert Sakmann)により開発され、1991年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

※神経細胞の電流については、神経科学のカテゴリー、第1~2回や各種感覚をご参照下さい

イオンチャネルの種類

イオンチャネルには、いくつかの種類があります。細胞膜の電位によって開閉されるイオンチャネル(下図A)、物質が結合することにより制御されるイオンチャネル(下図B)、また物理的な力によって開閉されるイオンチャネル(下図C)などがあります。それぞれ、電位依存性チャネル(A)、リガンド作動性チャネル(B)、機械受容チャネル(C)と呼ばれています。

パッチクランプ法の計測と応用

細胞やチャネルタンパク質から得られる電流の計測は、以下のような装置が使われています。顕微鏡で観察しながら目的とする細胞を確認し、その電流をA/Dコンバーター(アナログ電流をデジタル信号に変換する装置)を経由してパソコンに記録します。

このパッチクランプ法は、神経に関する基礎研究で利用されているだけでなく、医薬品の開発などにも利用されています。創薬のターゲットとなるタンパク質の約20%がイオンチャネルであり、自動的に多くの物質をスクリーニングするシステムも開発され、効率化が図られています。