味覚:味を感じる仕組み

五味(甘味、旨味、塩味、酸味、苦味)とその誤解

甘味はエネルギー源となる糖質、旨味はタンパク質の原料となるアミノ酸やDNAの原料となる核酸の味です。それぞれ、身体に必要な成分であり、美味しいと感じます。

塩味は、同じく身体に必要なナトリウムを感じる味です。身体の浸透圧(濃度)に近い1%に近い方が美味しいと感じる傾向にあり、塩分濃度が濃すぎても食べにくいと感じたことはあるかと思います。

酸味は腐敗の際にも生じるので、忌避される場合もありますが、適度な酸味は好まれる場合もあり、乳酸、酢酸、クエン酸などはエネルギーとして利用されやすい物質であります。

苦味はアルカロイド(窒素を含むアルカリ性の有機化合物)などで感じる味であり、一般的には毒物を検出する感覚です。

「五味」という言葉があるため、味覚は5種類だと思われがちですが実は違います。 上記の動画で紹介されています通り、「苦味」と1つの言葉で表現されても、20以上のセンサーがあり、それぞれ別々の物質を識別しています。また、霜降り肉や大トロが好まれるように、エネルギー源でもある脂質は舌でも認識されています。

舌の味覚地図の誤解と味蕾

一般的に、甘味を舌の先端で感じやすく、舌の奥の方で苦味を感じることが多いです。これは、「舌の味覚地図」と呼ばれていました。ですが、現在は舌の味覚地図は誤りであることが分かっています。

その理由として、1つの味蕾には、複数種類の味細胞があり、各味細胞が別々の味を感じていることが分かったからです。

味蕾とは、その言葉の通り、蕾のように味細胞が配列された、舌の表面にある組織です。舌の表面を詳細に観察すると、各種の乳頭状の部位があり、その側面にあることが多いです。

味細胞は、味物質を感じる細胞です。1つの細胞は1つの味を感じています。例えば、甘味専用の細胞があるといった具合です。