心拍変動解析・脳波・パッチクランプ法

脳波

脳波とは、脳の神経細胞の電気的な活動の総和を頭皮から電極で計測する方法です。人を傷つけることなく非侵襲的に測定可能であり、装置や消耗品の費用が比較的安価であるなどの利点があります。脳は、人の心身の状況を常にコントロール・モニタしているので、脳波でその状況を確認することができます。

脳波の記録

脳波は、ハンスベルガー(Hans Berger)によって人で初めて1929年に報告されました。また、ジャスパー(Jasper)により計測方法が1958年に標準化され(国際10-20法)、この方法は半世紀を超えた今でも使われています。上の写真は、ジャスパーからハンスベルガーに送られたクリスマスカードになります。

脳波の測定(国際10-20法)では、上記のように電極が頭皮に貼り付けられます。Fがフロント(前)、Cがセンター(中心)などの意味合いがあります。これ以上細かく測定する方法もありますが、天然物の効果を評価する場合は、2~6点に電極を貼り付けて計測する方法が一般的です。

脳波の解釈

上の画像が脳波の一例になります。良く耳にするのがα(アルファ)波ですが、それよりも大きな波であるδ(デルタ)波やθ(シータ)波、α波よりも細かいβ(ベータ)波など、波の振幅の周期により分類されています。

α波が増える(上下の振幅が大きくなる)の解釈として、リラックスするなどが言われています。しかしながら、目を閉じることだけでもα波が増えるので、その数値だけを鵜呑みにすることはできません。リラックス効果などは、心理学的質問紙や生理学的指標(唾液のIgAやコルチゾール等)と総合して判断することをお勧めします。

脳波でα波のような周期的な変化に加えて重要な指標が事象関連電位です。名前の通り、ある事象(画像を見るなどの刺激や思考など)に関連して生じる電位の変化です。

上記は、中島らにより2008年に発表された論文より引用しています。「N170」というのは、「N」がNegative(脳波の記録は上方向がマイナスになっています)の略で、「170」は事象が起こった後に生じるミリ秒(170ミリ秒なので、0.17秒後)という意味になります。グラフでは、人の顔を見ることによって(上記の赤線)振幅が大きくなっています。この研究より、人は顔に良く反応することが分かります。

以下の動画でも、脳波について説明しています。