ヒト試験(臨床試験)を始める際の確認事項

試験を始める前に、把握しておきたい確認事項が数多くあります。評価項目や実施場所、測定期間、報告書の提出日…。基本事項のようですが、試験をスムーズに進行させるためにはとても大切な過程です

この記事では、これらを「プロトコールの確認」と「日程の確認」に分けて詳しく解説します。

プロトコールの確認

依頼者からの試験概要をもとに、プロトコール(被検物、評価項目、人数、参加要件、謝礼金、実施場所)の把握ができているか確認します。
不明な項目があれば、グループLINEで情報のすり合わせをしたり、必要であれば依頼者に連絡をとりましょう。

被検物

被検物と、被検物の1日あたりの摂取量を確認します。

評価項目

ヒト試験では、モニター様に評価を回答してもらう質問紙と、実際にモニター様の血液や肌質を検査する測定の2つの評価方法があります。
これらに沿って、以下のことを詳細な点まで確認します。

・どのような結果が得られる質問紙を使用するのか
  (例「便秘に関する質問紙」、「肌状態主観的評価の質問紙」等)
・どのような項目を測定するのか
  (例「肌質測定」、「糞便分析」等)

1つの試験につきに複数の評価項目があることが多いです。

参加要件

モニターの特性を確認します。
  (例「健常な高齢者」、「便秘傾向者」等)

謝礼金

モニターに渡す謝礼金の額を確認します。

実施場所

評価項目に準じて選定することができます。

・採血がある場合
 →クリニック

・評価項目が質問紙のみの場合
 →実施場所なし(試験が郵送で完結するため)

・評価項目が質問紙と糞便サンプルのみの場合
 →実施場所なし(試験が郵送で完結するため)

・研究室で測定機器を準備できる場合
 →研究室

・研究室で測定機器を準備できない場合
 →外部機関

日程の確認

サプリメントを用いた試験の場合は、摂取前と摂取後でどれくらい効果が出たかを検証しなければなりません。
そこで、事前測定後にサプリメントを摂取する期間を設け、事後測定をするというのが一般的な試験の流れとなります。
また、試験後は、得られたアウトカム(結果)を速報と報告書を使って依頼者に伝える必要があります。
これらすべての日程を、一番初めに確認しておく必要があります。

測定期間

1日ですべての被験者の測定を行うことはできないため、測定には一定の期間を設けなければなりません。
目安として、被験者が30名の場合1週間に設定しています(試験内容、被験者数に応じて適宜調整してください)。

事前測定と事後測定の日程

サプリメントによるアウトカムの精度を保つために、事前測定を終えた直後からサプリメントを摂取し、摂取完了直後に事後測定をすることが原則です。
そこで試験依頼者からの試験概要を確認して、サプリメントの摂取期間を確認しましょう。
これをもとに事前測定と事後測定の日程を決定しますが、例えば測定期間が1週間、摂取期間が4週間の場合次のようになります。

速報と報告書の確認

速報は、試験終了後に依頼者に提出するもので、PowerPoint形式で作成します。実験方法や対象者、評価項目、試験結果などを、わかりやすくスライドにまとめたものです。

報告書は、速報提出後に依頼者に提出するもので、速報よりも細かな点まで記述していきます。これを文書としてWord形式で作成します。

これらを作成して提出することが試験の最終目標であるため、速報と報告書の提出日を確認しておく必要があります。
速報は試験終了してから2週間後、報告書は試験終了してから4週間後が目安です。