Excelを使った分散分析(HAD)マニュアル

HADとは、清水雄士先生が開発された統計分析をするためのExcel VBAプログラムです。基礎的な分析から統計的検定、分散分析、回帰分析、一般化線形モデル、因子分析、構造方程式モデル、階層線形モデルなどの多変量解析など多くの分析方法で解析が実行できます。

HADはExcelで利用することが出来るため、ExcelをインストールしているMacやWindowsで利用可能のプログラムになっています。こちらよりダウンロード可能になっています。またこちらの清水先生のサイトでは初心者向けのPDFが公開されています。このページでは、臨床試験で利用頻度の多い分散分析(二元配置分散分析)に焦点を絞って使い方を紹介したいと思います。

HADの使い方

HADの利用は上記ページよりダウンロードして下さい。またExcelのインストールが分からない場合は、このページ以外での検索やネットワーク管理者等にお問い合わせ下さい。以下は、ExcelとHADが使えるようになったパソコンでの画面を用いて説明しています。

Excelで数値の入力

被験者ID変数変数名(C1~E1:変数名は一行目が空白になるまで読みこむ)、結果データを入力します。被験者ID変数を入力する際には、B列に個人を識別する変数を必ず入力してください。この列に関してのみ文字も可となります。

次に変数名です。変数名はデータを入れていくにあたってのデータの名前になります。その列に何のデータを打ち込んでいるのかを明確にしましょう。この時に単位の記載もしておくとより見やすくなると思います。

最後に結果データの打ち込みをします。ここでは必ず数値化したデータを入れるように注意してください。もし欠損値が生じてしまった際には、ピリオドを入力してください。

データの読み込みから分散分析の実施まで

データセットができたら「データ読み込み」ボタンを押してください。データセットに空白があった場合は、エラーになってしまうので注意が必要です(ピリオド入力し忘れ等)。

データの読み込みが完了すると以下のように画面が変わります。「回帰分析」を選択します。そして画面左側に存在する「使用変数」ボタンを押し、変数を選択するデータリストから使用変数リストに入れます。今回でいうと、ID変数、sample、体重1(㎏)、体重2(㎏)を追加します。

また下のほうに存在する値情報の「値」をクリックして値ラベルに入力することで、値にラベルをつけておくと出力時に反映されます。同様に必要なラベルも入力しておきましょう。

次に「分散分析」を選択します。使用変数を指定し(D9、E9)、目的変数を選択します。目的変数にする変数を選択し、「目的変数を投入」を押します。すると目的変数が現れます(B15、C15)。

目的変数に「pre/post」と入力します(E15)。そして出力した結果は基本的に上書きされてしまうため、「出力を上書きしない」を選択しておくことをお勧めします(N13)。

主効果を全投入」を押します。するとモデルが現れます(B17、C17)。「交互作用を全投入」を押します(交互作用も必要であれば、コピペでも入力可)。するとモデルが現れます(D17、E17)。不必要なものは消去しても構いません。

また、参加者内要因を指定する際には下の画像の翡翠色の項目への記載時に$の後に入力すると比較することが出来るようになります。例えば、同一被験者の場合ですと、$福岡太郎 などと入力することで福岡太郎さんのデータが比較できるようになるといった形になっています。

分析実行」を押します(L12)。

分析結果の新しいシートが現れると成功となります。

これら1~7の操作ですべての測定項目のサプリメント摂取前と後のデータを用い分析を行ってください。内容としては薬剤と服用前後の交互作用や調整p値などをご覧いただくとよいかと思われます。
これらのデータを用いて報告書作成などに取り組んでいただけますと、より効率的に仕上げることが可能となるのではないかと思います。

参考文献

統計分析ソフト HAD Sunny side up!
https://norimune.net/had

清水裕士 (2016 ). フリーの統計分析ソフトHAD:機能の紹介と統計学習・教育,研究実践
における利用方法の提案 メディア・情報・コミュニケーション研究, 1, 59-73.

Shimizu, H. (2016). An introduction to the statistical free software HAD: Suggestions to
improve teaching, learning and practice data analysis. Journal of Media,
Information and Communication, 1, 59-73.