FMD検査(Flow-Mediated Dilatation, 血流依存性血管拡張反応)

FMD検査は、動脈硬化症の発症や進行の原因などの診断に有効な指標の1つです。
現代の日本における三大死因として、脳血管疾患・心疾患・ガンが挙げられており、動脈硬化は脳血管疾患や心疾患に大きく関わっています。
このページでは、FMD検査の原理や測定方法について解説をしています。

FMDとは

FMD(Flow-Mediated Dilatation)とは血流依存性血管拡張反応の略で、血管内皮機能を測定する方法を指します。
腕を圧迫することで血管内皮細胞から生成される一酸化窒素によって、解放後どれだけ動脈が拡がるかを超音波にて確認し、血管の拡張率からFMDを算出する検査方法です。
あくまでカフと超音波のみを使用した検査であるため、FMD測定自体は非侵襲性であり、その他の検査項目との関係性などを分析する際にも非常に活用しやすい検査方法となっています。
検査結果のうち、正常値は6%以上とされており、5%未満で血管内皮障害が疑われます。

FMD検査方法

ベッドにて仰向けの状態で測定を行います。

測定に使用する機械はモニターとアームとリモコンの三部分によって構成されています。アーム部分は土台となる部分に加え、三つの関節を持つ構造をとっています。

はじめに、肘下から手首にかけてサポーターをつけます。
サポーターの上に駆血用バンドを指が1~2本入るほどの強さで腕に巻きつけます。この時圧縮し関与するホースは上側に肘から掌の方向に沿うように装着してください。
(この際に、お洋服を肩あたりまでめくる必要がありますが、捲った服により腕(血管)が圧迫されてしまうと、測定に影響が出るため注意しましょう。)

基本的にはアーム部分で肘上5cmほどに存在する動脈を探すため、その周辺にジェルを塗布し、エコーを用いて本体の画面の左右部分(血管の縦断面)を確認しながら映し出します。 この際、アーム部分の動きは基本的に全て肌との接触面と平行になるように動かします。

動脈の縦断面、横断面を探し当てたところで、各縦断面の中心を選び画面をタッチし、オートモードにて血管の中心と血管の幅が安定するまで待機し、10秒間の安静時計測後、測定可能の表記が現れ次第、駆血を開始します。

正常時の測定画面

以下のように、『左短軸』『右短軸』における血管の幅が不明瞭であったり、『長軸』における上下がずれてしまうことで、『□部分が不明瞭です』などといった指摘が入る為、再度当て直し、血管を探し当てましょう。また『長軸』に関して、エラーが出ずともずれてしまっている場合があります。その際は、リモコンにて上下の幅を操作し、『左短軸』『右短軸』における大きさと比較しつつ合わせておきましょう。

異常時の測定画面

5分間の駆血後、2分間の測定時間があり、血管の拡張率、血流増大量などの測定が行われ、これらが測定データとなります。

駆血後、測定に入る際に、カフの開放により血管が大きく移動し、血管の中心がずれる、もしくは駆血前に選択していたものとは異なるほかの血管(静脈など)の中心へとずれてしまう可能性がある為、注意しましょう。ずれてしまった場合は再度中心を選択しなおしてください。

注意事項

測定者の方は以下の内容を把握、また患者(被験者)様にお伝えの上で、測定を行いましょう。

【測定前】
・血液抗凝固薬を服用されている場合は点状出血しやすいため、主治医の判断を仰いでください。
・検査予定時間の4時間以内の飲食は控えるようにしてください。
 特に脂肪の多い食事は検査の6時間前より控えるようにし、コーヒーなどに含まれるカフェインの摂取を控えてください。
・ビタミンCなどのサプリメントの摂取は6時間前より控えてください。
・タバコは検査の6時間前から控えてください。
・検査前の激しい運動は控えてください。
・測定日は肩あたりまで袖を捲っていただく必要があるため、腕周りに余裕のあるお洋服を着用をお願いいたします。

【測定直前】
・5分間の駆血の際、手のしびれが生じたり、皮下出血が生じる可能性がございますが、一週間ほどで症状は落ち着くため、ご安心ください。
・駆血、測定の際には腕や肩、首を動かさず、リラックス状態にてお願いいたします。

FMD検査は動脈硬化予防を含め、今後の生活習慣病への検査項目として非常に有用的な検査方法となっております。正しい知識を理解し、安全に効率よく利用できるよう知識を蓄えておきましょう。