t検定の事例
実際にどのような場面で記載されているのか見ていきましょう。
臨床試験の結果が広告などで使われている際、t検定の解析結果がなどが以下のように注釈として小さく記載されていることがあります(赤丸の「P<0.05」、「対応のあるt検定」などの表記)。
以下の図にあるp値の数値や「有意差あり」などの表現も同様に、解析結果や解釈を示しています。
これらを簡単に説明すると、測定値に差があったかどうか(上記の事例では効果があったかどうか)t検定を使って判断しています。
t検定:帰無仮説と有意差
ここで使用されるt検定は、2組の測定データから推定される『それぞれの正規分布が重なる確率』をt分布を使って考えることになります。
上記はその例ですが、左は有意の差がある場合、右は有意の差がない場合のデータと正規分布になっています。
t分布
t分布は標準正規分布とよく似た形の分布でありつつも、パラメータである自由度(≒データの数)によって分布の形が変わるという特徴を持っています。t分布の形は自由度によって以下のように変わっていきます。
T分布を数学的に表すと
の式で表すことができます。
帰無仮説と有意差
帰無仮説とは、ある有意水準を定めて測定値と標準値との間に差はない、という仮説です。実際の例で考えると、前述の健康食品の場合『プラセボ(偽物)と健康食品の間に差異はない』という仮説になります。
有意水準には0.05%が採用されることが一般的です。測定値の標準偏差から計算されるt値をt境界値と比較して帰無仮説の棄却判定を行います。t値がt境界値未満の場合、帰無仮説は棄却されず有意の差がないと判断されます。
一方で、t境界値がt値未満の場合、『帰無仮説は棄却され、有意の差がある』という対立仮説が採用されます。つまり、統計学的に差が存在しているということを指します。
t値を使用する際は絶対値を使用し、プラスマイナスは気にしないようにしましょう。