食事と病気の予防(メタボ・貧血・胆石症・胃潰瘍)
食事と病気に関して、10問の正誤式の問題があります。見出し(目次)の文章を正しいか間違っているかを考え、間違っている場合は正しい表現を考えてみて下さい。
※このページの趣旨はカテゴリーページ「食生活と健康」を参照してください。
目次
- 1 脂肪やコレステロールの多い食品を控えることは、高血圧予防になる?
- 2 動脈硬化の予防として、コレステロールを積極的に摂取する必要がある?
- 3 動脈硬化とは、血液量の増大や末梢血管の抵抗が強くなることによって、血圧が異常に高くなること?
- 4 虚血性心疾患の食事では、ビタミン類を控える必要がある?
- 5 貧血の予防として、ビタミン類に効果は認められない?
- 6 貧血の場合、鉄分の摂取量を増やすとともに、エネルギー摂取を制限する必要がある?
- 7 胆石症は、胆のうで生成された胆汁の成分が固まって、胆道で石になること?
- 8 胆石症では、食物繊維を控える必要がある?
- 9 胃潰瘍は、胃の内壁が膵液で消化されて生じる潰瘍のこと?
- 10 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の人は、消化のよい食品は控えた方が良い?
- 11 講義動画
脂肪やコレステロールの多い食品を控えることは、高血圧予防になる?
【高血圧予防における食生活のポイント】
- 減塩
- 野菜や果物を積極的に摂ることによるミネラルの摂取(カリウム、マグネシウム、カルシウム)
【動脈硬化予防における食生活のポイント】
- 朝食、昼食、夕食を規則正しく摂る
- 腹八分目とする
- 就寝前2時間は摂食しない
- よく噛んで食べる
- まとめ食い、ながら食いを避ける
- 薄味にする
- 外食をできるだけ控える
※動脈硬化の食事予防・療法は循環器疾患予防の基本になる
答え ×
脂肪やコレステロールの多い食品を控えることは、動脈硬化予防になる。
動脈硬化の予防として、コレステロールを積極的に摂取する必要がある?
※上記の解説を参照
答え ×
動脈硬化の予防として、コレステロールを制限する必要がある。
動脈硬化とは、血液量の増大や末梢血管の抵抗が強くなることによって、血圧が異常に高くなること?
【高血圧とは…?】
私たちの血圧はちょっとしたこと(体を動かす、寒さを感じるなど)で上昇します。こうした一時的な血圧上昇は高血圧とは言いません。
高血圧とは安静状態での血圧が慢性的に正常値より高い状態を言い、高血圧になると血管に常に負担がかかるため、血管の内壁が傷ついたり、柔軟性がなくなって固くなったりして、動脈硬化のリスクを上昇させます。
答え ×
高血圧とは、血液量の増大や末梢血管の抵抗が強くなることによって、血圧が異常に高くなることをいう。
虚血性心疾患の食事では、ビタミン類を控える必要がある?
【虚血性心疾患の食事療法の基本】
- 減塩 6g/日未満
- 適正なエネルギー量の食事
- 低脂肪・低コレステロール
- アルコールはやめるのが基本
- 食物繊維を摂る
- ビタミン・ミネラルを摂る
- 1日3食きちんと食べる
答え ×
虚血性心疾患の食事では、ビタミン類を摂取した方がよい。
貧血の予防として、ビタミン類に効果は認められない?
※次の問題の解説を参照
答え ×
貧血の予防として、ビタミンB₁₂や葉酸などのビタミン類に効果が認められる。
貧血の場合、鉄分の摂取量を増やすとともに、エネルギー摂取を制限する必要がある?
【貧血とは】
さまざまな原因によって、赤血球数あるいはヘモグロビン量が正常値に達しない状態を貧血という。
(1)鉄欠乏性貧血
体内の鉄不足の為、赤血球のヘモグロビン合成が阻害されておこる貧血。症状としては顔色不良、動悸、めまい、スプーンネイル(鉄欠乏による爪の変形)などがみられる。
(2)巨赤芽球性貧血
ビタミンB12や葉酸の欠乏によってDNA合成が阻害される為、赤芽球の合成が阻害されて起こる貧血。なかでも、胃切除後などのビタミンB12の吸収阻害が原因となる貧血を悪性貧血といい、神経症状やハンター舌炎を伴う。
【貧血の食事療法】
- 1日3食規則正しく食べる。偏食、欠食、減食はなおす(※必要エネルギー量の確保)
- 毎食、主食、主菜、副菜をバランスよく組み合わせ、栄養バランスの良い食事を
- 鉄の吸収を高める良質たんぱく質を含む食品の摂取
- 吸収の良いヘム鉄を積極的に摂る
- 緑茶、コーヒー、紅茶などに含まれるタンニンは鉄と結びついて吸収を阻害するため控える
- 造血作用のあるビタミン類を積極的に摂る
*ビタミンC…鉄の吸収を高める。
*ビタミンB12、葉酸…正常な赤血球をつくるのに必要なビタミン
答え ×
貧血の場合は、鉄分の摂取量を増やすとともに、エネルギー摂取を増やす。
胆石症は、胆のうで生成された胆汁の成分が固まって、胆道で石になること?
【胆石症とは…?】
肝細胞内で合成された胆汁中にコレステロールやビリルビンカルシウムが過剰になると、胆嚢や総胆管内に硬い石状の物質(胆石)が生じる。胆石の成分によって、コレステロール胆石とビリルビン胆石がある。
◇◆成因◆◇
- コレステロール胆石…肥満、高脂肪、高コレステロール食、妊娠など
- ビリルビン結石…胆道感染、低たんぱく質、低栄養などによる胆汁中のビリルビンカルシウムの析出
◇◆ポイント◆◇
- 胆石症は男性より女性に多い(男女比1:2)
- 日本ではコレステロール胆石が多い(ただし、総胆管胆石症は、ビリルビンカルシウム胆石が多い)
- 胆石症の半数が無症状
- 発作時に急性胆嚢炎を合併することが多い(急性胆嚢炎の約90%が胆石によるもの)→さらに、胆嚢穿孔や腹膜炎を合併
答え ×
胆石症は、肝臓で生成された胆汁の成分が固まって、胆道で石になることである。
胆石症では、食物繊維を控える必要がある?
【胆石症の食事予防】
- 動物性脂肪、コレステロールの制限
- 水溶性食物繊維の摂取
【急性期の食事療法】
絶食(静脈栄養補給)
【回復期の食事療法】
粥食を基本とし、段階を経て普通食へ
答え ×
胆石症では、食物繊維を積極的に摂取した方がよい。
胃潰瘍は、胃の内壁が膵液で消化されて生じる潰瘍のこと?
【胃潰瘍・十二指腸潰瘍】
胃・十二指腸の細胞壁が部分的に溶けて欠損した病態が潰瘍である。
◇◆成因と特徴◆◇
ストレスなどによって胃・十二指腸を保護している粘膜の働きが弱まる(粘膜血流↓、粘液・アルカリ分泌↓)のに加えて、胃酸に含まれる塩酸やペプシンの分泌が促進されることにより潰瘍が発生する。特徴としては繰り返しやすいことがあげられる。
また、最近ではヘリコバクター・ピロリ菌感染も原因のひとつとして取り上げられている。
◇◆合併症と症状◆◇
症状:出血に伴うタール便
合併症:出血、穿孔、幽門狭窄など
◇◆治療◆◇
食事療法、薬物療法、外科治療、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌
答え ×
胃潰瘍は、胃の内壁が胃液で消化されて生じる潰瘍である。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の人は、消化のよい食品は控えた方が良い?
【胃潰瘍・十二指腸潰瘍の食事療法】
- 2~3日絶食後、流動食から徐々に普通食へと戻す
- たんぱく質を十分に摂り(1.3~1.5g/標準体重(kg))、アルコール、香辛料、コーヒー、冷たい飲料などの刺激物を制限する。
答え ×
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の人は、消化のよい食品を摂取した方が良い。